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Chapter3-1 本日の夕食は

 日が暮れたとき、すでに雄介はキッチンで一人夕食の準備を終えていた。この数年で鍛えた料理の腕は紛れもないし物事を考えるには丁度良かった。部屋に篭って策を練るのもいいがやはり手を動かしていたほうが捗ると出来上がった夕飯を見ながら雄介は上機嫌で微笑む。
「ただいまー」
 時間はぴったりだ。リビングを通り越した玄関から寒い風が声とともにやってくる。義姉の栄子である。生徒会室での一件のあと、彼女はどうするのかとしばらく見やったら麗華と仲むつまじく会話をはじめてしまった。一緒に帰ろうと少し待ってみたがどうにもならず彼女を置いて来た。
 時間にして一時間半ほど遅れて帰って来たことになる。
 とことこと歩いてやってる足音に彼女が継げる言葉を思い描く。
「ただいま、母さん。それと雄介」
「おかえり」
「おかえりなさい、栄子姉さん」
 リビングには母もいる。彼女はソファーでくつろぎながらテレビを見ていた。なにも今日に始まったことではない。昔からキッチンで夕食を作るのは雄介が大半で母親は気が向いた時ぐらいしか立たない。雄介がいない場合は栄子が作るのが城嶋家のルールだ。
 だがそのルールはもう通用しない。母を催眠状態にして一言言ってやればいい。「これから夕飯はあなたが作るんだ」と。しかし雄介はそれをしなかった。それは料理が好きだったからかもしれない。
 栄子は母親に目もくれずに義弟へと寄っていく。母親は何一つ変に思う事無くだらりとしながらテレビに向いていた。
「どうしたの、栄子姉さん」
 日常ならこのような出来事は起きないだろう。
「あのね、今日のお昼に会った麗華……島津麗華さんなんだけど覚えてる?」
「生徒会会長の、だろ。知ってるよ」
 知っていて当然、生徒会室にも一緒にいた。だがそのことは彼女の記憶に残っていない。あの場にいたのは生徒会メンバーと顧問だけだ。
「麗華さんがどうかしたの?」
「うん。あのね、彼女が明日から家に来ないかって……都合悪い?」
「いいや、いいよ。でも俺が行ってもいいのかな。お邪魔じゃない?」
「邪魔じゃないよ。むしろ歓迎。実を言うとね、お姉ちゃんのわがままなの」
「そうなんだ」
「うん。だから一緒に行こうね」
 無邪気に笑う栄子だがこうなることは全て知っていた。彼女はちょっとした緊張のなかにあったのか肩の力が抜ける。すると冷蔵庫の中からオレンジジュースを取り出しコップに注ぐ。ふう、と息をつく彼女に向かって雄介は携帯電話を向けた。
「そうだ。姉さん」
「えっ」
 力を無くした掌からコップがすべり落ち。雄介は片手でキャッチすると催眠状態になった彼女に言った。
「夕食後、俺と一緒に風呂に入ろう。そのとき、水着を着て来てね」
「……水着を着て雄介と一緒にお風呂」
 催眠状態を解く。子供達の話は母親に聴こえている距離だが彼女はなにもする気配がなかった。ソファーの上で置き物のようになっていた。
「ありがと」
 手にしたコップを彼女に渡す。何も知らずに笑う栄子はコップに残っていたジュースを飲み干した。
「すぐに夕飯だからね」
「わかってる」
 そう言い残すと二階へ上がっていく。
 一人、キッチンの流しに腰をかけて想像を巡らせる。
 夕飯を仕度する中でいくつか考えた案がある。

 ――どうやって島津麗華を堕とすのか――

 島津麗華を陵辱するのは簡単だ。催眠携帯電話で彼女に電話をし呼べばいい。そして一言「セックスをする」と言えば彼女は従う。先ほど二階へ上がった栄子やサンタ娘も同じだった。
 人間の感情を操る最大の武器を持った雄介に死角はない。
 使い方を誤らなければこの世界を支配する事も容易い。
 だがしかし、そうやって手に入れた麗華に意味はない。
 麗華のプライドや気高さを潰すことが目的だ。でなければ彼女といくら身体を交じり合わせても仮初めでしかない。そこに雄介の求める女性はいない。
 麗華以外の女は彼女を手に入れるためのものでしかない。
 携帯電話のメモリーからミレイの番号を表示させるとすぐに呼び出した。コール音が鳴る。彼女が今どういう状況なのか知らないが電話の音には必ず気づく。
「……はい」
 ほらな、と口元をにやりとさせた。この携帯電話で通話する相手は一度催眠状態にしている場合、無条件で催眠状態となっている。ミレイは元気のない声で反応している。
「今から来い。使ってやる」
「……はい」
 ミレイの役割りは決まっている。性欲処理用の玩具だ。
 命令どおりに彼女はやってくるだろう。だが、それまではまだ時間はある。まずは夕食を食べて腹ごしらえだ。その後、二種類のデザートを戴く。
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tag : 令嬢催眠崩し 小説

2012-12-03 : 小説 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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之ち

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之ち(ユキチ)

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