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Chapter3-9 もしも地位を失ったらメイド編

 記憶の扉が開くとそこは屋敷の中、メイド達なら誰もが知っている場所。メイド長である三橋咲の執務室であった。はじめて屋敷にやってきたメイドが教育を受ける場所であり業務の確認を行なう部屋でもある。
「きょ、今日からお世話になります。島津麗華です」
「島津さん、ね……お久しぶりです。元、お嬢様」
 屋敷は島津の名ではなく城嶋の名前に変わっている。同時に数十年の長い歴史を持っていた島津家のメイド服は変更となった。長いスカートは短くなり、襟元まできっちりと隠していた部分は胸の谷間を何時でも確認できるほど広がっている。さらに生地はこれでもかというほど薄く歩くだけでも風を肌で感じてしまう。
 下着も変更させられた。これまで純白のフルバックショーツが基本だったが黒のTバックとなった。そこに白のガーターストッキングを装着するのが城嶋家メイドの仕来りである。島津麗華も例外ではない。
「お久しぶりですわ、三橋……さん」
「メイド長と呼んで下さい、麗華さん」
「……はい、メイド長」
 言葉は重く返答は時間を要した。
 なぜこのようになったかは簡単な事。彼女の父親である島津武夫が全権限を城嶋家に譲渡したからだ。行き場を無くした島津の人間を雇ったのは他でもない城嶋雄介。両親に社内で役職を与え、麗華には屋敷のメイドになることを薦めた。断ることなどできるはずもなく麗華はこうしてメイドとして本日より働き出すのだ。
 現在、朝の六時半になろうとしている。朝早くからでも屋敷にはメイドが従事している。皆、新しいメイド服を気に入っているようだった。
「ではさっそくですが、伊波さん! 来てちょうだい」
 少し大きな声で叫ぶと呼ばれた伊波がささっと走ってくる。
「はい! なんでしょう、メイド長」
「この島津さんの教育係としてついてあげて。他でもない『お坊ちゃま』の世話をするのですから粗相無いように」
「心得ております。さぁ麗華さん行くわよ」
「は、はい!」
 伊波は「さぁ」と急かして部屋を出た。麗華は短いスカートが翻らないようにして追いかける。
 前を歩く伊波、麗華は彼女の頬を何度も叩いた事がある。新人で少々仕事のできないところがある同じ年頃の女。だが今は違って見えた。
「あの……伊波さん」
 無言のまま、足を止めた。振り返らない彼女は前を向いたまま「伊波先輩」と言った。そう呼べといっているのだろう。
「い、伊波先輩……これからなにを」
 ようやく振り返る伊波はどこか怒っているようだった。
「言ったでしょ。坊ちゃまの身の回りの世話です。無駄口叩かないでさっさと行くわよ。さきに目を醒まされると手が付けられません」
「……えっ」
 また足を早く動かして歩き出す。ただ後をつけることしかできない麗華だった。
 二人が止まったのはある部屋の前。つい先日まで、自分のものだったはずの部屋。伊波はノックもなしに扉を開いて中へ入った。麗華も後をついて入るとそこにはベッドで眠っている雄介がいた。
 ベッドへ伊波が駆け寄ると腕を伸ばしてある部分の硬さを調べる。
「まぁ坊ちゃまったら今日も朝からお元気ですわ。……麗華さん、なにしてるの?」
「い、いえ……」
 その光景に背筋に怖気が走った。雄介の身体の位置から伊波の手が彼の股間を擦っているのがわかったから。
「何ぼうっとしてるのかって言ってんのよ。さっさとこっち来て坊ちゃまに朝のご挨拶しなさい!」
「そんな、商売女みたいな……」
 自分にも同じことをしろと強制する伊波につい本音が出た。すると彼女の眼が鋭くなる。どこかで見た眼と表情に麗華は足が竦んだ。
 ベッドから離れて窓際へと移動する伊波。
「麗華さん……あなた……ちょっとこっちに来なさい」
「な、なんですの」
 言われたとおりにするしかなかった。腕を組む伊波にゆっくりと近付いた。
「あなたは何?」
「何とは?」
「確かに前は島津家がこの屋敷の主であり私たちのご主人様でした。でもね、財産も何もかも失った今、お坊ちゃまのご好意で身を置いていられるのですよ、あなたは!」
 ベッドではその坊ちゃまが眠っているというのに伊波の声は大きく響いた。
「そ、それは……わかってます、わ……」
「いいえ! わかってません! 振る舞いも言葉遣いもなにもできてませんもの。それじゃあ我々メイドの一員として加わる事もできませんよ」
「だ! だからって! そんな……男性器を……その……」
「もういいよ、伊波さん」
 離れたベッドから男の声、雄介が起きていた。ベッドの端で椅子に座るようにしていた。
「お坊ちゃま! あぁ、申し訳ございません」
「仕事熱心な伊波さん、こっち来て」
 怒っていた伊波は仔犬のように駆け寄ってひざまづいた。雄介の手が伸び彼女の頭を撫でる。
「あっ……えへへ……お坊ちゃまに頭撫でられちゃいました」
「おい、麗華!」
「は、はい!」
 油断していた。そして伊波を見てなぜかうらやましいと思ってしまった。そこに名前をきつく呼ばれて背を正す。雄介の顔には優しさがなかった。その表情を見て思い出した……自分だと。仕事のできないメイドに対して向けていた麗華自身だ。
「なんで朝の奉仕ができないんだ。メイドのたしなみだって俺が仕事の内容に加えてるだろ。伊波さんを見てみろ、毎朝俺のチンポをしゃぶって起こしてくれるんだぞ」
「できるわけっ」
 否定するなか伊波を見るとその手は雄介の股間部分を躊躇なく擦っている。
「じゃあなにができるのさ。料理? 裁縫? 掃除? なにか得意なこととかあるの? ただ、できるっていうのはカウントしないでよ。ちゃんと一流の仕事としてできるかどうかだからね」
「……ありませんわ」
「だよね」
 メイドとしてできることなどあるわけがない。しなくていいと育てられたのだから。
「ねぇ、お坊ちゃま」
「なんだい」
「麗華さんに躾けを施しましょうよ。もうさっきからぐずぐず言っててムカつくの」
「確か……彼女がお嬢様やってた時もそういうのあったよね」
「はい。気に障ることがあればビシッて頬を叩かれました」
「頬か……」
 二人の目が麗華を見る。なにをされるかわかったものではない。
「あ、あれは! その、すいません」
「いまさら謝ったっておそいわよ。麗華さんそこに立って壁に手を付きなさい」
 伊波の頬を叩いた回数は覚えていない。彼女の眼から積った怒りが滲ん出ていた。
 麗華は抗う術を持っていない。言われたまま、窓枠に手を置いた。
「これでよろしいでしょうか……」
「足をもっと壁から離して! お尻を突き出すように!」
「はい!」
 腰を直角になるように曲げなければならなかった。長く細い脚が開かれるとスカートは下着を隠せなくなった。黒のパンティが食い込んでいるのが見放題となる。
「伊波さん、彼女、今日どれくらいミスしたの?」
「そうですね。五回くらいですかね」
「そんなにしてませんわ!」
 あるはずがない。考える必要なく口を開いて反論した。だがそれこそが失敗だった。
「六回になりました」
「そんなっ!」
「七回でーす」
「くっ……」
 口を開く度に伊波は回数を足していく。麗華は黙って窓から見える風景に目を向ける。
「はい、これ。伊波さんがやっていいよ」
 雄介が取り出したのは馬上鞭と呼ばれる鞭である。馬の尻を打つための鞭でありろく十センチ程度のもの。先端に小さな板が取り付けられておりかなり強烈な一撃と音を加えられるもの。伊波はうっとりしながら手にした。
「まぁ素敵な馬上鞭ですわね。お坊ちゃまのものですか?」
「違うよ」
「では元お嬢様のですか……さぞお馬さんを叩かれていたのでしょうね」
 麗華は小さな頃から乗馬をしていた。伊波の手にした馬上鞭は少し前に買ったものだ。痛さはよく知っている。
「まさかそれで……嘘ですわよ、ね」
「甘いわね。今まで他人をビシビシ叩いてた女が言う台詞じゃないわ」
「道具なんて使ってませんわ!」
「知らないわよ、そんなの」
 手首のスナップを効かせて麗華に見えるように振るう。空を切るその音に顔が青ざめていく。それを見て雄介も立ち上がり麗華を挟み込むように立つ。
「さて伊波さん。躾を始めよう。そうすれば麗華さんだってちゃんと立場をわきまえますよ」
「ですよね、お坊ちゃま。あっ! どうせなら皆呼んでいいですか?」
「皆? ああ他のメイドか。いいよ」
 伊波は腰につけていたレシーバーをONにして屋敷のメイドを呼んだ。足音が聞こえてくると見物にやってきたメイドで部屋はいっぱいになる。皆、一度は麗華に叩かれた事があった。
「さて揃ったところで……まずはお尻を出しましょうね」
 スカートはめくられた。黒のTバックが完全に露出すると麗華は恥ずかしくて死にたくなる。青くしていた顔は赤くなっていく。雄介はたまらなく面白かった。
 伊波が先端の板で尻を撫でる。
「綺麗なお尻ですね、ムカつくわ……さぞお高いエステやサロンに通われていたのでしょうね」
「お、女として当然のことではないですか」
 泣き出しそうな声でひりだした声だった。
「そうですか。でももう必要ありませんよ。お坊ちゃまの寵愛を断ったあなたには」
「では最初の一発お願いします」
 息を整える時間などなかった。伊波の腕はお坊ちゃまの声を皮切りに振るわれ白いぷりんとしたお尻に赤い型を作った。
「ひぎぃぃ! っぃぃ……ひぃ、ひぃ、ふぅ……う、うぅ……」
 激痛で尻が強張るとTバックがさらに食い込む。まるで穿いていないように見える。
 顔では痛みで涙が零れる。
「あらもう泣いちゃった? なっさけないわね。でも手は抜かないわよ」
「ぐひぃぃっ! ひぃぃ、ひぃ、はぁぁ……ふぅ、ん……」
 屋敷に響き渡る音。見ていたメイドは皆、笑っている。一人、麗華だけが涙ぐんでいた。
 脚がひくついて、いつ倒れるかというところ。雄介と伊波の眼が合った。二人のなかで何か合点がいくものがあったのか伊波は麗華の気づかないところで肯いた。
 腕が振り上げられたが角度が違った。これまでは鞭が横になるように振るわれていたのだが今度は縦だった。メイド達もこれには口をあけて「行け!」と言った。
 腕が振り下ろされる。鞭の先端にある四角い板が麗華の股間に叩きつけられた。
「ひゃっ! がぁぁ! ひぐっ! ぅぅぅ……うぅ……ああああああああ!」
 股間に打ち付けられた鞭が離れると声を大きく出して泣き崩れる。
「ごめんなさーい。間違ってオマンコ叩いちゃったわ。あれ? もしかしてクリちゃんに響いた? ねえ麗華さんどうなの」
 悪びれた様子などない。声の弾みは玩具で遊ぶ少女そのもの。
「ひぃ、痛い……いたぁ……」
 声を出し切ると今度は股間から小便を漏らす。
「あらぁ、麗華さんはほんとにお股のゆるいお嬢ちゃんですねー」
 脚のストッキングもスカートも小便で濡れてしまう。自ら漏らした小水に膝をついたままメイドの笑いを浴びた。
「ここがお坊ちゃまの部屋だってわかってるの!」
 倒れた麗華に容赦なく伊波が四発目を叩き込む。
「うひぃっ! ずみばぜん……ずみまぜん……」
 力は弱かった。伊波なりに加減したのだろう。涙を流して謝る。
「かまわないよ。伊波さん。麗華さんの小便、匂いはあんまりしないから」
「坊ちゃまがそういうのなら」
 雄介の言葉には素直に従う伊波。
 崩れた麗華の瞳に雄介が映った。泣いて赤くなった眼に雄介は笑顔で接する。
「麗華さん、残り三発ありますよ。それを帳消しにする方法、教えてあげましょうか」
「なんですの……」
「ちゃんと皆さんにごめんなさいと言うんです。今までの立場ではなくこれからの自分として」
「しますっ! 謝ります!」
 すがりつくように言ってメイド達に向いた。
「その後、ちゃんと俺のチンポに朝の奉仕、するんですよ」
「……奉仕、ですか」
「当然でしょ。あなたが謝るっていうのはこれまでの事で、奉仕には関係ないわ。そうですよね、メイド長」
「そのとおりよ。私たちメイドはいついかなる時もお坊ちゃまのために存在するのです。廊下でお尻を触れれば好きなだけ触らせて、股を開けと言われれば屋敷の外でも中でも股を開く。時にはお坊ちゃま専用の便器にだってなります」
 自分が流した小水を目にする。おそらく便器とはそういうこと。雄介はにやつきながら見ていた。
「そういうことよ。さ、まずは土下座して謝ってもらいましょうか」
 迷いなどあるはずはない。麗華は頭を下げた。
「こ、これまで本当に申し訳ございませんでした。これからはメイドとして働きますので先輩方のご指導、お願いします」
「いいわ。それじゃ朝の奉仕よ」
「お坊ちゃま、私に奉仕させてください……」
 今度は雄介をのほうを向いて頭を下げる。これまでの人生で培ったプライドは粉々に砕けていた。もはや女王様でもなければ、お嬢様ですらない。一介のメイドとしての人生が始まる……麗華は涙を流して屈した。
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Author:之ち
之ち(ユキチ)

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