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第7話 ハラムヨル

 ――さぁ、起きて……沢木葵さん、起きてください……

 どこからか、声が聴こえてくる。なぜ、自分が目蓋を閉じていたのかわからないまま沢木葵は意識を取り戻した。
「やぁ、葵さん。おはよう、目覚めの気分はどうだい?」
 眼前にいたのは海藤信哉だった。いつも病院で会う彼らしく、白衣を着て椅子に座っている。ただ、その椅子は彼のものではなくソファーで辺りはどう見ても病院ではなかった。
「えっ……私、なんで……海藤君、私……」
 記憶を遡る。鏑木と出かけた先での一件後、確かに家路についたはずだった。そのとき、海藤から電話があったのは憶えている。
「私、家に帰ろうとしたはず……」
「そうだったね。俺が電話した時、葵さんは泣いていた」
 ゆっくりと記憶が整理されていく。浮かび上がってきたのは家へ向う電車ではなく別の電車に乗ったこと。夜の道を彷徨うようにして歩きここへやってきたこと。
 記憶の中に大きな門が浮かび上がる。表札には阿久津とあった。
「ここって……」
 過去が動画を早送りするように現在に紡がれていく。
 阿久津の表札を後にして門をくぐる。敷地は自分の家とは別物で豪邸そのもの、庭まである。いくつものライトで照らされた庭を抜け、母屋から放れていく。出現したのは母屋からしてみれば小屋のような離れ。和式のジャラジャラという音が鳴る重い扉だった。鍵はなく葵は自分の家のように入っていく。
 その中には今正に自分が見ている光景が広がっていた。
「阿久津先生は俺にとって……いや、俺の家にとって恩人でもあるんだ」
 海藤が立ち上がる。彼に従って彼を動かそうとしたが動けなかった。縛られているわけでもない。床に腰を降ろしているだけだ。なのに動く事はできない。なんとか動くのは首から上だけ。彼に向っていた視線を動かして部屋を見渡す。薄暗い部屋のなかには他に誰もいなかった。
「その彼が、葵さんを見てこういったんだ。あの女は良い女だ。育ちが良く、頭も良い、それに抱き心地もいい……とね」
「海藤君……貴方何を言って……」
「俺のところでずっと治療をしてきたよね。憶えてるでしょ?」
「え、ええ……」
「でも、なにをしていたか憶えているかい? 答えはNOだ。いつも催眠状態に入ってからのことは憶えていない。俺も教えていないしね」
 確かにそのとおりだ。受けている治療は催眠状態になり身体と心を安静にすることでできる。いつも催眠状態に入る時のことはぼんやりと覚えているが最中のことは覚えていない。
「本当ならもう少し調教を続けたかったんだけどね。阿久津先生の頼みだから断れなかった」
「さっきから何を言ってるのかさっぱり分からないわ」
 部屋の中を闊歩しながら話していた海藤が近付いてくる。いつもは優しい親友が今はとても禍々しく、恐く思えた。彼は自分の知らないなにかを知っている。
「だからね、そろそろ全部思い出してもらおうかと思ったんだ」
 頭を近づけて微笑んだ。決して優しさの表れではない。
 海藤は手をソファーの前にあるテーブルへと伸ばしてリモコンを取った。葵に見せつけるようにしてボタンを押す。突如、部屋に眩い光が溢れた。視線は光に向った。
「ああ……はぁ……はぁ……」
 画面に映ったのはベッドと吐息を漏らす女。汗が滲むほど熱を発している。息はセックスのときに発する牝のもの。葵にはよくわかった。なぜなら画面に映し出されている女は自分なのだから。
「なによ……これ……私、なんで……」
 自分の姿がそこにある。肩を揺らして、吐息を漏らしている。とても気持ちよさそうに頬を赤くしている。見たこともないベッドの上で。
 海藤が葵のこめかみを押さえた。

 ――これまで行なった治療のすべてを思い出してください――

 たった一言、呟くようにいうと葵は頭に痛みを感じた。頭痛とは明らかに違うハンマーかなにかで叩かれたような痛みだった。視界がぐらっと揺れて身体の拘束が解けた。痛みを堪えてソファーによじ登る。自由になった身体はとても重く歩けそうにない。
「記憶の混濁が終わる。そろそろ思い出すよ」
 何もかも彼の手のひらの上にあるかのよう。葵の脳内でテレビの画面と自分の記憶が合致していく。
 ベッドの上で身体を捩れさせ、身悶える女は確かに自分だった。治療の際、意識のない自分は傍にいる海藤によって身体を隅々まで点検された。素肌をさらして性器から尻の穴まで見られた。
「最低よ……海藤君……あなた最低ッ……」
「その最低な男に葵さんは身体の隅々まで触られたんですよ」
「こんなことして、ただで済むと思ってるの?」
 抵抗できないことを知っていて傍に近寄る。同じソファーに並んで座るとリモコンのボタンを押す。画面は変わり、また葵の痴態が晒される。
 いつも治療を行なっているあの部屋で裸で立っていた。カメラは葵を前方から撮影しており、乳房も薄い陰毛までも映している。なのに葵は意識はなく人形のように立っているだけだった。
「なにも葵さんが初めてじゃないよ。これまで何人ともしてきた。皆、最初は驚いて葵さんみたいに睨んできたけど、最後は……」
 画面に腕が伸びてくる。葵はそれが誰の腕か知っていた。海藤のものだ。撮影は傍に立てた脚立に乗っているカメラによるもの。すべて海藤の手によって用意されたものだった。
 腕は身体中をまさぐり始める。抵抗することのない自分がそこにいる。意識のない彼女にできるはずはない。
「ここまでして、何が目的なの……」
「もう自分でもわかっているだろうけど葵さんの今の状況を説明しておく。治療、いや調教前は処女そのもので感度も低かった。きっと実のセックスが下手なんだろう。随分と乙女チックだったからね。でも今は違うよ、散々こねくり回したからね」
 映像の中で言葉が具現化される。
「女性が性に目覚めるには段階を踏む必要がある。まずは肌だ。男でも女でもどちらでもいいけど触れられる事で目覚める。他人と触れることが重要だ。次に胸、乳房。葵さんは随分と大きな乳房を持ってる。実は勿体無いよ、これだけのモノを持っているのに揉みしだいた事がない」
「貴方のような下種と実は違う。あの人は女性を玩具みたいに扱わないわ」
 睨みをきかせるが海藤は何ともないようにあしらって話を続ける。
「胸の次は腰、そして性器だ。ああ、大丈夫、俺はまだ挿入してないよ。膣壁と入り口に刺激を繰り返し、淫核……クリトリスへの刺激も開始した。大丈夫、もう調教は完了しているよ。実とのセックスじゃそこまで感じ方は変わらなかっただろうけど、本当のセックスをすればわかるよ」
「聞いてれば……実のこと馬鹿にしてるのね。親友じゃない! なんでそんな風にいえるのよ」
「親友ね……そう親友だから言えるんだ。お前のセックスはしょぼいって」
 軽く笑う。実だけでなく葵も含めた沢木夫妻へ向けての嘲笑。
「話を続けよう。昨日、この部屋の持ち主である阿久津先生から連絡があった。なんでも正志にちょっかい出したらしいね。まぁ彼の手癖の悪さは知っているから、いつかは葵さんとこうなるって思ってたけど。ふふっ、葵さん正義感だけは強いから」
「それで……」
「でね、阿久津先生、葵さんが気に入ったんだって。ねぇ、先生」
 並んで座るソファーよりももっと奥へ向って呼びかけた。一室だと思っていた部屋が広がる。壁に見えていた一面が折りたたまれて右に寄っていく。
「やぁ、沢木葵先生」
 いつからそこにいたのか。一人用のソファーに腰掛けていた阿久津一郎がいた。スーツではなくバスローブに着替えている。
 海藤がソファーから阿久津のほうへと向うと現れた部屋に光を灯した。阿久津の背後には布団が敷かれていた。掛け布団はなく寝るためのものではないことは分かる。
 布団の左右には照明が設置されていた。布団は昼間のように明るく、表情を隠す場所はない。さらに四方八方からカメラがベッドに向いている。
「さっき女は段階を踏むっていったよね。実は葵さんの調教状態はあと一段なんだ。クリトリス、膣、そして最後……膣奥、子宮だ。今夜、葵さんに最後の調教を行なう」
「そんなことしてどうなるのよ!」
 全力で叫ぶものの男二人は何ともなかった。
「どうって言われてもね。それは阿久津先生に任せますよ。俺の役目はもう終わりましたから、あとはどうぞ」
「任せておけ。なぁ沢木女史。わしはお前さんを気に入った」
「私は嫌いです」
「だろうな。だからいいんだ。それでこそ孕ませがいがあるというものよ」
「ッ!?」
 阿久津の言葉に背筋が凍る。じろりと見つめてくる瞳の奥に、彼の思考が見えてくる。すると背筋だけでなく全身が凍り付けになったように感じた。身の危険を生物の本能が知らせていた。
 逃げなくてはならない……直感が囁いている。でも身体はまだ重く、赤ん坊がはじめてする四つん這いのようにしか動けなかった。
「どこにも行けないよ。今の葵さんは俺のかけた催眠状態のなかにいる。意識は一切弄ってないけど身体の動きには制限をかけているからね。だから……」

 ――沢木葵さん、布団のほうへ移動してください……

 身体がぴたりと止まる。重かった身体がふわりと浮くように持ち上げられる。誰か別の人間のなかにいて、目を借りているようだった。ありえないと思うものの抗えない。
 足が動き、布団へと向っていく。阿久津の座っている椅子を通り過ぎる。口元が下卑た笑顔を作り上げていた。身体はまだ彼が発するオーラのようなもので凍ったままだ。
「なにをするのよ……」
 海藤の傍を通りすぎる。これまで饒舌に語っていた男は口を噤む。
 葵が布団の上に足を置く。カメラのレンズに映った。悪寒が恐怖そのものへ変貌する。背後で阿久津が立ち上がる。
「それでは先生、ごゆっくり」
「なんだ……見らんでいいのか? お前が育てた女が牝になるんだぞ」
 男たちが背後で話す。海藤は表情を変えず、葵を見た。しばらく黙って見つめると小さく「では」といって阿久津の座っていたソファーへ座る。布団側へ向けると男と女が正面から向き合う姿が見えた。
 無言で見つめ合う男と女には何の信頼関係もない。女は怒りで睨みつけ、男は不敵に笑う。海藤は二人を見て冷ややかに笑った。
「それではこれから葵さんにかけている催眠を解きます。だから逃げたければ逃げればいい」
「逃げて……助かるなんてこと、ないわね」
「残念ながら。ご覧のとおり葵さんの痴態はいくらでも複製できます。これをネットに流せばこぞってマスコミが押し寄せてきてくれる。なんといっても美人弁護士が淫らに喘ぐ姿ですからね」
「逃げないわ……抱かれればいいんでしょ……」
 眼前の阿久津一郎は、隠す事無く視線を胸へと当ててくる。いやらしく、考えている事は間違いなく伝わって来る。女へ、性の対象としてだけ向ける下品な眼差し。成長期から感じていた視線だった。ひどくいやで、いつも睨み返していた。
 なのに阿久津一郎の視線は違っていた。じろじろと舐めまわすように見るその視線に肌をまさぐられているみたいに感じる。
 心臓が早鐘のように鳴響く。男の視線を意識すると頭の中がぼうっとしてくる。
「どうした、緊張しているようには見えんな。もしかして期待してるのか?」
「そんなことあるわけないわ!」
 葵が返した刹那、海藤が手を叩いた。部屋の空気が一変する。途端に身体の縛りが解けて葵は布団の上に腰を落とした。確かに身体は自由になり、二人はそんな葵を無理に縛ろうとしない。
 ……本当に無理やりする気はないみたいね。出口は……だめ。逃げても先はないわ。
 落ちた腰をそのままに布団の上であお向けになる。
「ほら……好きにするといいわ……」
 阿久津が身体を近づけてくる。空気の流れに彼の体臭が混じって鼻をくすぐる。歳を感じさせる匂いに顔を背けるがその先にはカメラのレンズがある。どこを向いても顔は映像の中に記録されてしまう。
「まずは邪魔なスーツを脱がそうか」
 手が伸びてくる。触られたくないと咄嗟に自分で襟を押さえる。
「自分で脱ぐわ」
 そういうと阿久津があからさまに機嫌を悪くした。
「男心をわかっとらんな。わしは脱がしたいんだ」
 男心など知るはずはない。夫の実はそんなことをしなかった。誠実で真面目で、いつも大事にしてくれた。ベッドに入るときはいつも服を着ていなかったし、明りも消してくれたのだ。
「なら好きにすればいいわ」
 ぶっきらぼうにいうと阿久津は表情を少しだけ穏やかにして、止めた手を動かし始めた。手が襟元のボタンを外す。馴れていることがすぐにわかった。肌に痛みを感じることがなかった。
 大きく膨らんでいる胸の先端へと登っていく。肉感豊かな、触ればぶるんと揺れる谷間が現れ、包み込んでいる白の下着が見えてくる。阿久津の鼻息も荒くなっていく。視線以外の器官から性への渇望が溢れている。
「大きな乳房だ……映像で見るよりも美しいぞ。こりゃたまらん」
 嬉しくなかった。いかに賞賛されようと相手がこの男であれば何も変わらない。
「もっとじっくり味わおうと思ったがやめるか」
「えっ……」
 圧し掛かってくるようにしていた阿久津がもぞもぞと腰を動かしているのがわかった。視線を腰のほうへと向けると股座が膨らんでいた。
 そして半分ほど見えていた乳房に手が掛かる。シャツとブラジャーを同時に掴んだ。乳房にも触れていた。阿久津はにやりとしてから一気に引き裂いた。
 まだシャツを閉じていたボタンが弾けとぶ。乳房の残りとお腹の部分まで布地が破れる勢いで開かれた。
「いたっ!」
 なにも破れたのはシャツだけではない。ブラジャーもセンター部分で破れていた。掴まれていた乳房の一部も赤くなる。
「おっほぉ! こりゃ綺麗な乳首じゃ! めんこいのぉ!」
 ブラのカップがひっくり返る。包み込んでいた果実はぶるんとはじけ、まるでゼリーかなにかのように胸元で揺れた。先端の薄紅色の乳首は少女のような甘さのまま残っている。ぷっくりと摘まめば取れてしまいそうな繊細さであった。
 おそらく夫の実でさえ、こんな明るみで見たことはない。
「綺麗のう……ええっ!」
 手がまた伸びてくる。葵の了承など必要はない。我が物顔で乳房を揉み、肌へ指をめり込ませた。
「ああっ!? ぐっ……」
 火照った身体に電流が走ったみたいだった。痛いのか気持ちいいのかわからないただの刺激。突然の感覚に歯を噛んで堪える。
「なに、これ……」
 阿久津は力いっぱいに乳房を揉んだだけ。愛撫にすら届かない接触だ。
「ええ感度しとるのぉ。これもお前の調教のおかげというやつか?」
「いかにも。これまで葵さんは無意識下で感じていたことですから馴れるまでに時間は掛かると思いますがね。その刺激にはやく馴れさせてあげてください」
 乳房を掴まれているだけで全身が硬直するほど感じた。本当に電流を流されたみたいだった。それが全身にある。
「ならまずは隅々まで、わしが、触って愛でてやろう。そのほうが孕みやすくなるだろうしな」
「あなたの子供なんて産むわけないわ!」
「ええぞ、その意気じゃ。簡単に堕ちるなよ」
 にたりと笑った。ごつごつとした手が乳房から離れると、スーツの上から肩を抱き腕を絡ませる。指の腹を優しく押すようにしていく。
 ……なによこれ、指先でも感じちゃってるの……。
 信じられなかった。阿久津が触る箇所はすべてぴりぴりと痺れてくる。乳房ほどではないが熱く火照り、やすりで削られているかのよう。
「んっ……んぅ……」
 口は閉ざしたままだが息をするたび極少量の吐息が漏れる。阿久津に聞かれていないか不安だった。彼からの接触で感じてしまっていると思わせたくない。沢木葵は夫である沢木実だけの女であると示すためだ。
 決して下劣な男のものにならない。決して自分は淫らな女ではない。
「そら、脱がすぞ」
 スーツの上着はするりと腕から抜ける。まるで魔法だ。身体と布団の間からするりと抜けてシャツ一枚になる。続いてボタンの外れたシャツへと手をかけ、スカートから残りの裾を取り出した。
「なかなかいい匂いをさせているな。なにか香水をつけているのか?」
「……ラベンダーのを少し……」
 汗の匂い隠し程度につけているだけだ。小声でいうと阿久津は鼻で笑った。
「なら明日からはわしの用意する香水をつけろ」
「なんでよっ!」
 理由はいわなかった。なにより『明日から』というのが恐かった。今夜だけですませるつもりではないのかと問いたかったができなかった。声を出した隙をつくように太ももがぎゅっとつかまれた。
「ぁはっ!」
 履いていたストッキングの表面が肌を擦ると声が出てしまった。
「すらりとした足だな。これもいいがわしとしてはもう少しムッチリしているほうがええな」
 スカートから伸びる脚は細く、豊に実った胸の果実や、背の高い長身には少し肉付きが足りないように思えた。
「私の身体をなんだとっ!」
「決まっておる。わしのための肉壷だ。いうのを忘れておったがな。この離れ屋敷は、わしが気に入った女を連れこんで、孕ませるための小屋なんだ。世間体を考えて結婚して子供も作ったが、わしみたいな男は嫁1人で満足できんからな」
「あなたみたいな男、私は大っ嫌いよ……んんっ……」
「わしは大好きだぞ。お前のような女がな」
 太ももをストッキング越しに撫でながらいう。やはり太ももにも刺激になる点が存在している。どこを撫でられても刺激が頭まで昇ってくる。体内を血脈に沿って流れて最後は腰の恥骨の辺りで消えていく。
「いつまで触ってるつもりよ……」
「そう急くな。感じとるくせに、ほれっ。ここなんかどうじゃ」
 シャツが捲れて見えている腹を押す。ぷっくりとした肉がついたへそ周辺がへこむ。
「んっはっ……はぁぁ……ハァん!」
 肉の奥まで圧迫された。痛くはなかった。これまでと同じかそれ以上の刺激がその点だけで響いた。頭に上ってきていたあの電流が動く事がなかったのだ。へその辺りで固まってまるでクレーターでも作るように響いてくる。
「だ、だめっ!? 押さないでっ!」
 体内から何かが溢れようとしていた。目尻に涙を溜めたがそれではない。もっと下の場所。尿意に近い。排便のとき、腹を押さえる事がある。あれに近い。体内に溜まっているものを外へ出そうとする感覚に肝が冷える。
「だめ? わしのすることに意見するな!」
「あぐっ!?」
 ぐっと押し込んでくる。手を退けようとしたが無理だった。力が抜けて抵抗できない。そればかりかお腹に力を込めることもできなくなっていく。
「だめ……漏れちゃう……」
 手のひらが作り出すクレーターが体内に溜まっているものを押し出していく。下腹部から腰へと降りると恥骨を刺激し、股の間へと向って一気に駆け抜ける。
 足を閉ざして防ごうとしたが阿久津がさせなかった。股の間に身を置いて、スカートをめいっぱい開かせる。白のショーツをストッキング越しに露出させると最後の一押しとばかりに腹を押した。
「ぃゃ……いやぁぁあアアッ!!」
 我慢できない。自分の腰が震動するような刺激を味わうしかなかった。
 暖かい尿が股から漏れる。噴出したばかりの小水はショーツを浸してストッキングを汚していく。
「漏らしおったか。ええっ、感じとる証拠ではないか。このドスケベがっ!」
 濡れていく股の間。零れた小水は尻へ落ちて布団を湿らす。アンモニアの香りが室内に漂い始める。
「違うわッ! こんなの感じてるんじゃない!」
「いいや、感じている。間違いない。どこもかしこもスケベなことばかり考えているからだ。ほれ! この乳だ! いやらしくでかくなりおって! 男からの視線をビンビンに感じて腫らしおったんだろう! このケツもだ! 男に見られて嬉しかったんだろう」
「そういう身勝手な考えが大っ嫌いなのよ!」
「なら理解させてやる。お前の本性がとんでもないドスケベだということをな」
 漏らした小便が止まると阿久津は再び乳房へ手を伸ばしてきた。股を開かせたまま覆い被さったのだ。
「どうだ? 散々、触ったんだ。そろそろ慣れてきたろ」
 乳房へと手をかけた。あの強烈な刺激とは違った。確かに感じたが嫌な感じはしなかった。それどころか触れられる事が気持ちよく思えた。
「なんでぇ……こんなの嘘よ……」
 本当に阿久津のいうとおり身体のつくりが変わってしまったみたいだ。
 誰が触っているかなど体は関係なく受け入れて、ただ反応するのみ。乳房のなかには無数のボタンが仕込まれていて、押されれば感じるだけのようだった。
「嘘ではない。調教の成果とやらもあるだろうが、遅かれ早かれお前はこうなっておったんだ。ほれ、この乳の先を見ろ」
 乳房を絞るようにして先端の突起を膨らます。薄紅色の乳首はしこりのように硬くなり震えている。掴んでいる手の熱さに興奮しているかのうようでもある。
「とても綺麗ではないか。乙女のような色をしておるくせに恥知らずな淫売の匂いもさせている」
 手の圧力が抜け、先端へいく。指先で乳首を摘まむとひねった。
「ヒィッ! あっ……痛っい……」
「痛い? 嘘だ。ようく感じろ。本当はどう感じているのか、その口で述べてみろ」
 伸びきった乳房の先端で乳首が摘み上げられている。千切れそうな乳房の先端が脳と繋がったようにあの電流を流してくる。
 ……ああ、痛い……でも、なんで? なんで、私……これが感じてるってことなの?
 心の奥底である願望が沸いてくる。ほんの小さな乳首が責められることに甘い誘惑が囁いてくる。
 ……もっと……もっと……。
 痛覚が麻痺したせいのか。はたまた、自分の身体がおかしくなったのか。いや、海藤によって受けた調教とやらが原因か。
「どうだ、どうしてほしい?」
 口にすればどうなるというのか。きっとこの男は気をよくして笑うだろう。そして自分は屈辱に晒されることになる。絶対にいやだと念じるがそれも所詮虚しい感情にすぎない。
 ……そんな目で見ないで。私は……私は……ああっ。
 阿久津はわざと力を弱めていく。徐々に緩やかになっていく刺激を葵は無性に欲した。身体がより強い刺激を求めている。身体は覚えている。自分がこれまでされてきた調教の全てを。あの映像に記録されている甘美な誘惑を。
「……して」
「なに? もっと大きく言わんか。聴こえんぞ」
「もっと強くして! お願いです! 私の身体をもっと触って! 感じさせてください!」
 堪えきれるものではない。疼くのだ。身体の奥からもっと刺激が欲しいと。
「んあッ!」
 自分でもハッとするほど甘い声が出た。阿久津が緩めた力を元に戻したからだ。乳首を練り潰すかのように爪まで立てている。
「それでいい。快楽に染まることは何も悪い事ではない。与えられる刺激に、自分に正直になる事だ。そうら、もっと気持ちよくなるぞ」
 乳首から乳肉にするりと移動すると普段触る事のない下側を掴む。赤くなった乳首を見ろとばかりに押し上げて指をめり込ませる。
 次第に溢れ出す汗が手を滑らせ、力だけの暴力的な愛撫からスムーズなマッサージに似た愛撫へと変貌していく。
「はぁはぁッ……っはぁ、なにこれぇ……知らない……なのに、覚えてる……」
 意識が飛びそうになる。阿久津が乳房を蹂躙し陵辱する。嫌悪するべき対象だというのに身体は快楽を受け入れようとしている。最初の痛い電流はやんわりとなだらかになり、全身を燃やすように流れていく。
「どうだ、わしの愛撫は」
 どう答えるべきか。一度は懇願したが残った理性が口を噤む。
「ふっ。また、だんまりか。いいだろう、じっくり責めてまたおもらしさせてやる」
 深いしわを何本も顔に浮かべる。手にしている乳房はすでに滴るような汗に濡れ熟しきっている。阿久津は赤く腫れた乳首に吸い付いた。
「ぢじゅぷッ! じゅぢゅぢゅぢゅぢゅっ! っぷ~~~!」
 唇を尖らせわざと音が鳴るようにして吸う。乳首がとれそうだった。唾液が腫れた肉芽に染み込む。
「くぅっ! アッ! 嗚呼ッ! っはぁぁ……だめっ!」
「んぢゅぢゅッ! ぷぷぅぅ! っぷはぁ、はむぅ!」
 乳輪を舌で舐めまわす。大きな果実についた、小さな肉芽が葵の精神を掌握している。
「乳首ばかり虐めるのはやめてぇ! 痛い!」
「痛いものか。ほれ、こんなにいやらしく勃起させておるではないか!」
 また乳房を眼前へ押し出す。そのまま自分で吸い付けそうなほど近かった。赤く腫れあがった肉芽を見ると視線を逸らす。とても見られなかった。
「ちゃんと見ろ! ええっ! どうだ、この乳首は、乳は! もっと吸ってとねだっておるだろう」
「そんな言い方……」
「さっき自分で言ったろう。お願いします、もっと感じさせてと」
 確かにそのとおりだった。そして与えられた快楽は今や全身を燃えあがらせている。
「だからわしがもっと感じさせてやる」
「ああっ!? な、なにをするのぉ! またぁまた乳首をっ……んんっ!」
 顔が近付く。押し上げた乳房をそのままに先端にかじりつく。歯茎を見せて笑うと首を左右に振った。乳首は上下から挟まれている。そのすべてを目に焼き付けろと言わんばかりに虐める。
「ハァッ、やめぇ、やめてぇ……」
 か弱い声だった。その声は本心ではなかったからだ。乳首を虐められるほど腰が持ち上がっていた。陵辱される上半身に、阿久津に組み敷かれていた腰が反応している。
 すでに身体はどこで感じ、どこで反応するのか知っている。
 葵の感情こそが肉体の反応に追いつくよう必死にしがみ付いている。
「なにか、来る……なにこれぇ……分からない! わかんないぃ!」
 何度も逸らした乳首から目を背けられない。好きでもない男の顔から目を背けられない。視界に存在するのは嫌悪するべき象徴。
「い、いやぁあああ……だめぇ! このままじゃぁ……イ、イィ……」
 ……まさか……いやよ。こんな、こんな男にイかされるなんて絶対に嫌!
 与えられる快楽の波は止まらない。また激流のように荒々しく葵の身体を巡り、浮かせた腰へと入り込む。恥骨と股間の三角形、その中心点に受けた快楽が充満していく。
 我慢すればするほど、拒否すればするほど葵はそのことに気づく。女の身体はそうできているのだと認めるしかなかった。
「だめぇッ! イっちゃ、イッちゃう! イ、ィィ、イックぅぅぅぅ!!」
 腰が折れそうなほど跳ねた。阿久津の歯が乳首に送った刺激に完全に負けた。乳首から流れる刺激が脳へ駆けると思考を破壊する。再び乳房を抜けて腰へと下る。身体が川のようだった。そして終着点には崖と滝がある。そこは子宮に当たる。刺激の一団は川下りをするように崖へとやってくると一気に全てを押し出した。
「おうおう、ようイキおったなぁ」
 性の絶頂に達し零れると腰も同じように落ちていく。
「あっ……ああっ……」
 肩で息をすることしかできない。天井を見れば勝ち誇った阿久津の顔が目に見える。乳房を掴んでいた手が内股へ伸びる。まだ興奮の頂きから、すぐ傍の場所で打ち震える肉は次なる快楽を求めていた。
「どれ、見せてもらおうか。イッたばかりのドスケベな股を」
 葵の身体を自分の側へ引き寄せる。足を持ち上げて頭の横へつま先を落す。阿久津の眼下にストッキングに包まれた小便臭い股間がやってくる。折り曲げた腹を手で抱えると葵は動けなくなった。
「おうおう、こりゃひどい。臭いなんてもんじゃないぞ、葵くん」
「あなたのせいでしょ……私は……」
 ストッキングもショーツもびしょ濡れだった。漏れ出した愛液と小便が混ざっている。さらに汗の匂いまで混ざって鼻にツンと突き刺さる。
「どれ、どんな味がするか……」
 舌を伸ばしストッキング越しに舐めあげる。
「や、やめっ! きたなっ! いひィィッ!」
 ショーツにストッキングが擦れた。舌の肉は分厚く、敏感な性器は触れるだけで艶声をあげさせる。
「ほほう、なかなか味わい深いな。しょっぱいが……ふむ、甘い……まるで葵くんの人生のように甘い」
「あなたに何がわかるのよ……」
「わかるよ、なんでもな」
 腹にまわしていた手を退けるとベルトを外す。目に見えていなかったが一瞬だ。ジップも外すとスカートを脱がせて放り投げる。今度はストッキングを手に掛けて引き裂いた。
「こっちも白なんだな。それもフルバックとは……もっと洒落た下着を履かないか。それともなんだ、白が好きなのか?」
「色がついたのは……エッチ……だから……」
 震える声でいった。
「ぶっ! ハハッ! おい、聞いたか! 色のついた下着はエッチだかららしいぞ」
 無言で事態を見つめていた海藤も笑う。
「意識しすぎだ。いいか、下着なんてファッションだ。好きな物をつければいいだろうが。そうやって身に付ける物まで男を意識するなんてのは重度のスケベしかおらん」
 下着はいつも白だった。だが昔、青いブラを着けたことがある。そのとき男の視線が異様に気になった。歩くたび、何かの拍子に胸が揺れた時、些細な事でも気になってしまった。だから下着は白にしていた。それも無地の一切デザインのないもの。
「スケベなんて……」
「いいや、ドスケベだな。こんないやらしいケツしおって。大方腰の振り方も気にしてたんだろ」
 阿久津の言葉に顔を背けた。
「なんだ図星か。だが料亭で見たときに一目で分かったぞ。自分のケツがでかいことを知っているから歩幅も小さかった。揺れないように気づかったんだろ」
「だったら……なんです」
「もうするな。もっと楽に生きろ。葵くんは少々、固すぎる。ここもな」
 そういって舌をショーツの中心へと押し出した。
「いやぁッ!」
 嫌だったのはショーツが汚れていたから。自分の排泄した小水が付着している。絶頂の際に漏らした愛液も混ざっている。ストッキング一枚がなくなっただけで舌の肉感が生で舐めてきたように感じてしまう。
 ショーツに染み付いていた二種類の液体を舌に乗せて押していく。力強くショーツの生地を押すとその下にある薄紅色の割れ目が姿を見せる。阿久津は眼下に収めながら割れ目に沿って舐める。
「まだ感じてぇ……そんなに押さないでぇ」
 分厚い舌肉は指で押さえるよりも強い。割れ目は抵抗する事無く開いて求める。膣に侵入するかのようにショーツがめり込んで最初に戻る。尻穴の傍をスタート地点にして何度も舐めるのだ。
「あ、ああッ、こんなのはじめて……」
 滲んでいた小水はすべて吸い取られてしまった。代わりにショーツは阿久津のよだれでべとべとになる。そして裏側から溢れてくる愛液が溢れてくる。
「こんな安物のショーツを舐めたのは久しぶりだ。まったく……」
 吐き捨てるようにいうとショーツの端に手をかける。なにをしようとしているのか分かったが何もできなかった。これまで同様、手に掛けたショーツを力いっぱい引っ張る。
 破れていく純白の布。絶対に見られたくない場所が阿久津の眼前に晒された。
「ピンク色の可愛いマンコではないか。ビラビラもまだほとんどないしな」
「映像で見たんでしょ」
 いつの間にかテレビは消えていた。しかしあの映像を見たのは間違いない。
「本物を目の前にしてようやく分かることもある。例えばこのクリトリスの勃起具合とかな」
 太ももに左手を置き、ぐっと股を開かせる。右手は容赦なく性器へと進んでいく。
 すでに度重なる愛撫と絶頂で濡れた花びらが直に広げられる。一度、縦に沿って指でなぞると上部で止まり包皮を捲りあげた。
「ぷっくりして、なかなか大きい、男に虐められたいとねだっておるみたいだな」
 空気に触れた淫核に我が目を疑う。
 自分の身体の最も大事な部分。夫さえ目にしたことがない部分だった。いつものセックスであれば包皮を捲る事もない。ピンと張ったクリトリスをはっきりと見たのは初めてのことだった。
「ん、なんだその顔は。自分のクリトリスだぞ」
「これ、私の……クリトリス……」
 色こそ乳首と同じ薄紅色だが大きさが違う。性器上部から小指の先程に膨れ上がった芽はいやらしい肉でしかない。
 淫核を見ていると催眠状態の記憶が呼び覚まされる。この小さなクリトリスを弄られた記憶だ。心は感じていないが身体は膣奥……それこそ実のペニスでは届かない深い部分にまで届いている。阿久津の陵辱が始まろうとしている今、意識しないはずがなかった。
「や、やめてくだ……さ、い……」
「なに?」
「触れないで! クリトリスに触れないでっ!」
 触れられればどうなるか予知できる。確信していた。肌や乳房など所詮は前儀でしかないことを知ってしまっている。もしもクリトリスや膣内に触れられればとても身体は持ちそうにない。
 快楽への恐怖が心を支配していた。
「そこまで言われると無性に弄りたくなるな」
 あまりにも騒いだため興味の対象となった。相手が逃げようとすると阿久津は執拗に責めるくせがある。葵が知っているということを彼自身も知っているのだ。
 身体を捻ろうとした瞬間、阿久津は淫核をそっと摘まんだ。
「ンンッッ!!」
 なんとか声が出るのは塞ぐ。しかし摘ままれただけで雷に打たれたようだった。ぴたりと腰が止まる。もし動けば指先で摘ままれた淫核が根とずれて刺激がやってくる。
「感度は上々、でははじめようか」
 新しい玩具が手に入った。そう言いたげな表情でクリトリスをひねる。
「うヒィッ!? ひゃ……やぁめっ、てぇッええエエ!!」
 直接、性を責められる。刺激はどこへも流れる事はない。クリトリスに与えられた刺激は、クリトリスの根元へ刺さるようにしか動かない。性の刺激は膣洞の壁を一瞬で移動してどこかへと消えていく。葵は刺激の在処を見失い腰を震わせる。
「しゃんとせんか。でないとこの先、また漏らすぞ」
「そ、そんらぁことをいわれへもぉ……こんらのぉ……」
 舌が回らない。物の見事に腰が砕けていた。全身が痙攣したようにヒクヒクと跳ねている。調教された肉体から受ける性が強すぎたのだ。もっとゆっくり馴れさせる必要があった。だが、だからといって阿久津はやめることはない。
 性感帯となった肉体を玩具にして弄ぶ。
「だ、だめぇ! クリトリスはだめぇ! またキちゃう、キちゃうんです! 嗚呼ッ、だめぇぇエエ! そんなに引っ張らないでぇ!」
「なにがくるんだ、ちゃんと言ってみろ」
「わ、わからないわ! わからないのよ! でもキちゃう……お、奥から……奥からぁ……」
 クリトリスを数ミリ動かすだけで葵は叫ぶ。身体の奥底から沸きあがって来る。葵には正体が分からなかった。まるで自分の身体のなかに別の生物がいるかのようにさえ思える。
「ならわしが教えてやる。そいつはな、葵くんの本性だ」
「わ、わらしのぉ……ほんしょう……」
「言ったろう。いつも男の視線を意識して、性を連想して、ひた隠しにしていた本当のキミだよ」
 またクリトリスを曲げる。折れはしない。根から方向を変えただけだ。だが葵にとっては涙を流すほど気持ちが良かった。
「あ゛あ゛! き、気持ちいい……なんでぇ、なんでこんなっ……」
 与えられる快楽を拒む。認めてしまえば夫を裏切ってしまう。実の姿を頭に思い浮かべて必死に堪える。それしかできない。
「私のクリトリス……嗚呼ッ、だめっ、そんなふうに押さないで! 引っ張らないでぇええ! こんなの卑怯よ……助けてぇ、みのる……」
 いない夫へ助けを請う。当然、返事はなく虚しく消えていく。
「葵くん、キミの夫はなにもしてくれないよ。たとえ、ここにいてもな」
「そんなことないわっ! 実はぁ、ちゃんと――」
 最後まで言わせることはなかった。反対へクリトリスを捻る。せっかく堪えた一撃も一瞬の隙で失せた。
「ひィッン!! アッ……アッアあぁ……あぁッッ!! キ、ちゃった……」
 頭の中が真白になっていく。腰から太ももまでの感覚が消える。葵にとっては気の遠くなるような時間だった。あれだけ感じていた刺激がゼロになり、戻ってくる。一瞬で全身の興奮が限界を突き破った。
 放心し項垂れたあと、花びらは膣奥から噴き出した透明の液体よって開いた。割れ目から噴水のように飛沫があがった。
「ほほぅ……こりゃいい。まだ挿入もしてないのに潮噴きか」
 笑い出す阿久津だが葵は見ることができなかった。
 ……これが私の本性だっていうの……。
 自分で噴いた潮に顔を濡らす。恥ずかしさで死んでしまいそうだった。
 飛沫が止まると阿久津はさらにクリトリスを捻る。一度、潮を噴いた程度でこの男がやめるはずはなかった。
「ヒヒィィッ!? ア゛ッ、だめぇぇええ! イったばかりなの゛!」
 収まりのつかない快楽の波がまた押し寄せてくる。責められているのは空気に触れているクリトリス。なのに膣には地震がおきていた。
「もっと感じろ。そのうち慣れるだろうしな」
「ふざけっ、ないでぇ! こんなの知りたくないっ!」
 その言葉が終わると同時に阿久津が抱えていた腰を布団へと落とした。尻肉からクリトリスへ震動が響いて軽くイった。潮は噴いていないが愛液は零れ身体は指1つ満足に動かせない。
 阿久津は顔を近づけて葵の瞳に自分を写した。
「もう知っとるだろうが。散々、イって潮を噴いてるのが証拠だ。そら、受け入れろ」
「いやっ……ああぁ、イヤよ……」
 クリトリスを弄っていた指が今度は外に広がっている花びらへと伸びる。次に弄る部分は嫌でも分かった。ついに触れられるのだと考える。
「その強情がいつまで続くか見物だな」
 性器の入り口を無骨な指が這う。ぴりぴりと弾けるような刺激が駆け巡る。絶頂の余韻がまた新たな絶頂へと昇ろうとしていく。
「んっ……こんなふうに女を犯して楽しいの?」
「楽しいな。料亭で見せたあの気丈な顔が歪んでいくのが面白いよ」
 あまり声を出せなかった。口を開くたび、感じているときの声が漏れそうになる。
 何度もはしたなく漏らした花びらが開くと指が膣壁の浅い部分を押した。
「ふぁっ……ああっ、さわって……」
 膣壁の感度は最早限界を超えている。外側からの愛撫だけで何度もイかされたせいだ。指の第一関節だけで触れられる部分であっても腰が浮いてくる。
 動けないはずの身体は快楽の波を知っている。葵の思考など置き去りにして性を求めている。
「奥へ入れるぞ、葵くんのオマンコはどんなふうに鳴いてくれるのかな」
「いやらしぃ言い方しないでっ……ふぐっ!」
 膣壁に指を押し当てる。葵はなんとか口を閉ざして堪えた。
 ……なによ、ただ触られてるだけじゃない。そうよ、ただ触られてるだけ。なにも……なにも……。
 自分に言い聞かせる。ただ性器を触られているだけなのだと。
「オマンコがびくびくしておるな。嬉しそうに指を受け入れて……夫の愛撫はどうだった? オマンコをほじられてどうだった?」
「言うわけないでしょ!」
「いや言ってもらう。わしの指と比べてどっちがオマンコほじりが上手いかちゃんと言え」
 膣内へ侵入する指が増える。1本から2本へ。実とのセックスで許した指の本数と同じだ。だがなにかが違う。膣内に感じる圧迫感や力強さ、その何もかもが実の愛撫とは桁外れに感じる。たった指先でまさぐるだけなのに感情が溢れて表情にでてしまう。
「顔に書いているぞ」
 阿久津が囁く。堪え、嫌だとばかり言った口を閉ざす。顔を強張らせるが無駄だった。
「気持ちいいんだろ。感じているんだ。わしのような男にオマンコをほじられ感じている。それだけだ。だがなにも恥じる事はない。女とはそういうものだ」
「違うわ、こんな……こんなの……」
「ならこれはどうかな」
 指がもう1本、膣内へと侵入した。
「なっ、なに、広がって……」
 葵の膣はするりと潜り込む。花びらが広がり、外へ広がろうとする膣壁。指3本が横並びになっているのに膣は受け入れてしまっていた。
 阿久津の指がずっぽりと潜り込み折り曲げられる。三本がまるで別の生き物のように膣内で暴れだす。
「あっ……やだっ、動かさないでッ! 広がっちゃうからぁ……あぅっ……ああッ」
 膣内はすでに広がりきっている。葵が知らないだけだ。海藤の手によって膣奥まで調教済み。阿久津は一度は広がった膣内を確認するだけだった。
「こんなっ……はぁ、いい……そんな嘘よ……」
 強情な言葉はそのままだが明らかにこれまでの拒否反応と違う。与えられる刺激の多さに追いつきつつある。
「嘘じゃない。葵くんのオマンコはわしの指で嬉しがっておる。ほら、言ってみろ。気持ちいいですと」
「いうわけないじゃない……くっ……ああっ、そこはだめぇ」
 膣から雪崩れのようにやってくる性の刺激からどうにか逃げようと身体を揺らす。しかしそれこそが最大のスパイスになって膣を責める。阿久津は指を添えるだけでよくなった。碇のように指を折り曲げておくと葵が身体を揺らして引っかかる。
「ああっ、いやぁぁ……なんでこんなに感じるのよ……本当に私おかしくなって……」
 身悶える葵は自分がどのような状況に陥っているかわかっていない。じっとしていればいいものを、なんとかしようと腰をくねらせる。そして指に膣壁があたりまた新しい刺激がやってくる。
「もうだめぇ……わたし、本当にだめになってっ……」
 いつしか腰のうねりに一定のリズムが生まれていた。逃げようとして生まれた躍動は自分から快楽を得ようとしている女に見える。阿久津の目にあと一息と最後の責めに向う意気が現れる。
「な、なにをしてっ!」
 股間の変化に全身が反応した。見れば阿久津の手がクリトリスにかかっている。膣に侵入している指はそのままだ。急所を二箇所同時に攻める準備だった。
「両方同時なんてだめ! お願いです、ほんとうにわたし、おかしくなって」
「だめだ。葵くんの強情な気概はもう十分見せてもらった。あとは肉壷になってもらう」
「にくつぼ……なんです! その言いようは! まるであなたがっ、私を支配しているみたいじゃない!」
 語気は強く、睨みつける。おそらくこれまでのどの睨みよりも強い眼力を持っていた。
「支配? そうだ。葵くんはもうわしの物なんだ」
「だれがっ! 私は私です。そして私は夫の物よ」
「夫か。なら夫に見せてやろうか。妻が他の男によって調教される一部始終だ。くやしがるだろうな、男としても」
「最低よ……アァッ!」
 クリトリスが揺れた。添えられていた指がついに動き出した。最も感じる部分だけを直接、触れられねじ回される。
 膣に侵入している三本の指もまた蠢きだす。
「ああっ、だめぇ! だめぇえええ! どっちもだめぇええ!」
 両足がピンと張ってつま先が浮く。
「なにがだめなんだ? 嬉しそうに腰を振りおって」
「うぅ、だめぇ! いやなのぉ、こんな感じかた……だめよ……」
 無骨な指は的確に急所を押さえていく。葵の反応を見過ごさず完全に潰す。
「どんなふうに感じている。嬉しいんだろ、触られて、ほじくりまわされて! 小便漏らして潮噴いて、次はなんだ! なにを漏らす?」
 目が布団に向いた。自分の漏らした液体がそこかしこに飛び散っている。もうこれ以上のことがないほど恥を撒き散らしていた。
「ほら言ってみろ。私はオマンコをほじられて喜ぶ肉壷ですと!」
 強く膣壁を押す。葵の感情を破壊していく。あと少しで粉砕する事ができる。
「わっ、わたしは……」
 息が荒くなる。もう一度、今度はクリトリスを同時に押し潰す。
「ああっ! わたしは、わたしは……オマンコをっ! 嗚呼ッ!」
 ……いいたくない。いいたくないけど無理よ。こんなに責められて耐えられるわけないわ。
「私は……私はオマンコをほじられて喜ぶ肉壷です!」
 その瞬間、なにもかもが崩れ去った。激しい痙攣が起こる。布団にまた新たな恥汁が飛沫を上げて漏れた。視界が点滅して感じとった。
 ……気持ちいい……本当に気持ちいいわ……。
 長い責めに耐えた身体が解放に向う。
「どうだ? 言ってみろ」
「気持ちいいわ……からだがふわってなって……わたし、こんなの初めて……」
 味わった事のないものだった。放心するなか本音が漏れる。なにも考えられなかった。
 阿久津の顔がすぐ目の前にあってもかまわなかった。
「私の身体、どうしちゃったの……」
「どうもしてない。葵くんは最初からなにも変わってない」
「あなたが知ってるはずないわ」
「わしは知らんさ。だがあの男は知っている。長年、友人として、医者として治療を行なってきたんだ? 夫の知らないことも全部話している仲だ」
 椅子に座っている海藤は微笑むばかり。何が楽しいのか問いたかった。
「さぁ、気持ちがほぐれたところでようやく本番だ」
「えっ……」
 視線が阿久津に向う。
「これで終わるはずがあるか。いったろ、ここは孕ませ部屋だ。葵くんの子宮にべっとりとわしの子種を仕込むんだ」
「やっ……だめよ、なにいって……」
 すっかり抜け落ちていた。これまでのことは所詮、前儀。
 阿久津はバスローブを脱いで葵に股座を見せつけた。披露した股座には猛々しく勃起したペニスがあった。
「えっ……うそ、大きい……」
 長い時間の愛撫に期待と興奮を隠し切れていない。ペニスは子供の腕ほどあり葵の顔に近付いていく。あまりの力強さに呆気に取られてしまった。
 血管が浮いて見えるほど太い線になって肉竿に絡みついている。反り返り具合も申し分なく、力を込めればへそに触れそうになっている。
「大きいか? それはカリの部分か、それとも竿か」
「えっ……そ、そうね。全体、かしら。でも……痛くないのですか?」
 鼻先に漂ってくる牡の匂い。脳が蕩けるほど性の匂いは強い。熱に浮かされるように頭が呆っとしてくる。
「痛いだと。男の事を知らんな。仕方ないか……触ってみろ」
 右手を手首から取られると指をペニスに絡ませられる。
「あつい……これが男の人の……」
 ……すごいわ、なんて太くて逞しいの。ドクドクいって、実のおちんちんと違う。本当に同じ人間なの……こんなにも差があるなんて。
 いつもセックスの時は電気を消していたから実の性器を直に見たことはない。それでも手で触ることはあったし、膣内へ挿入も当然している。大きさや形は熟知していたはず。なら眼前にある手を焼くペニスはなんなのか。
 ……おちんちんってこんな凄いものだったかしら。それともこの男だからこんなに凄いものを持ってるのかしら。
「恐くないか?」
「なぜ、恐がる必要があるの……」
 阿久津の言葉がわからない。手にしたペニスに恐怖は感じていないのだから。
「必要はない。それならそれでいいんだ」
 牡の象徴であるペニスは女性にとって一種の恐怖を植え付ける。それは身体の他の部分と違って生殖器官としての外見があるからだ。人というより動物を連想させる形相に恐れてしまう。
 しかしそれとは別のもう1つの理由がある。自分の膣内を犯す器官だと本能が悟り、膣が広げられ牝の部分を暴かれることを危惧するためだ。
 恐がらないということはすでに克服したか、本能が興味を示している可能性がある。阿久津は葵の問いに答えず身体の位置をずらした。
「まだ感度はいいはずだ。どれ」
 杯を持つように太ももの下から腕をもぐりこませる。股を開かせ愛液に塗れた股間に口をつけた。
「ぢずゅずゅずゅずゅぅぅうううう!」
 唇を立てて音を掻き鳴らす。膣の中で溜まっていた愛液もすべて吸い尽くすようだった。
「んあぁッ! ハァァアアアッ!」
 吸引される股間に手を伸ばす。阿久津の頭を押さえるが無駄だった。膣内に舌が侵入すると手は硬直し胸元へ向って肘を折る。乳房を腋から閉じ込めて歓喜に震える。
 一度、認めてしまった快楽は簡単に抜けない毒。
「またイッちゃう! 感じちゃうからぁ、やぁっぁあアア!!」
「感じるのは嫌か?」
「えっ……」
 口元を愛液で濡らしていた。自分の漏らしたはしたない汁だと思うと申しわけなく思う。その相手は夫か、阿久津かわからなかった。
 じっと見つめてくる瞳に目を向ける。辱めを受けるこの一時がまるで永遠のように続いている。快楽を植え付けられた肉体が、際限なく求めている刺激に悩まされ、心が壊される手前で散々陵辱されている。最初は絶対に屈するものかと抵抗したが、自らが口にしたのは快楽を求める言葉。
 ……その目はなに……言えば与えてくれるの。もっと激しいことをしてくれるの。なら今夜、一夜限りの……。
 心が燃えている。身体が熱に浮かされてか。
「いやじゃ……ないわ……できれば、もっと欲しい……」
 心臓が破裂しそうだった。腰は震えていた。だが恐怖ではない。快楽を求める期待によるもの。
「わかった、自分で持ってろ。そしていうんだ。その口で何をして欲しいか」
 満足したのかにたりと笑う。葵の足を持ち上げて膝裏に腕をかけさせる。乳房は押しつぶされ谷を作り上げる。無防備の股間は尻穴までさらしてしまう。
 てらてらと恥蜜を垂らす女芯は男を誘う淫売でしかない。
「わ、わたしの……オマンコに、そのおちんちんを……入れてください」
「それではだめだ。もっと言葉に気を使え。そうだな、こういうのがいい」
 耳元に口を近づけ囁く。録画している映像も音量を最大にしても聴こえないほど小さな声だった。再び股の間に戻ると葵がいうのを待つ。
「沢木葵のオマンコを阿久津一郎様の肉壷として捧げます。どうか、存分にお、犯してくださいませ」
 今度は何も言わない。口端を持ち上げて笑うと、ペニスの先端を膣への入り口に触れさせる。待ちに待った挿入のとき、葵は触れた熱を受け入れて夫へ謝った。
「ごめんなさい、実。私は淫乱でドスケベな女です!」
 ここまでが阿久津の教えた言葉だった。すべてをいうと阿久津が腰を突き出す。
 太い亀頭が膣の入り口を押し広げていく。股が裂ける痛みに歯を噛み、初撃を堪えるが亀頭の膨らみに呆気なく敗北した。
「んぐぅッ! あっアアアアアアア! 入って、はいってくるぅぅうう!」
 悲鳴のような甘美な声で鳴く。
 亀頭がすべて挿入され広げられた膣洞は最奥の子宮まで広がる。挿入を焦らされた膣内は喜びの絶頂へ瞬時に至る。
「んはぁっ! すごいわっ! 指なんかより凄いの。これが本当の男の人なのね」
 夫とのセックスなどもはや子供のお遊びにしか思えない。どれだけ突いても得られた快感は乳房の陵辱以下。満たされていく肉体の悦びに勝てる物は何もない。
 調教された今だからとしてもこの現実がすべてだった。
「おお、これが葵くんのオマンコかぁ。なかなかいいぞ。ねっとりと絡みついてくる」
 亀頭で押し広げられた膣壁は柔軟にペニスを包み込む。浮き出た血管にさえ絡みついていく。男を迎え入れるどころか、奉仕することを知っている牝の蠢きだ。
「ああっ、オマンコが広がってぇ……あなたのが、響いてくるっ……」
 腰は動きを止めない。ペニスは膣壁を掻き分けて子宮を目指す。すでに絶頂に近い位置で身悶える葵にはカウントダウンに近かった。子宮口に触れた瞬間、どうなるのか期待で胸が膨らむ。
「もうすこしだぞ、葵くん。葵くんの子宮がわしのチンポを求めておるのがようわかる」
「いわないで下さい。恥ずかしいぃ……ああっ! 当たってる、膣内でおちんちんがっ」
 腰はずにゅりずにゅりと膣壁をねっとり味わいながら侵入する。
 葵はペニスの大きさから激しい腰使いを想像していた。阿久津のことだから強引に腰を突き動かすと。実際は違う。女を感じさせる奉仕にも似た穏やかな挿入。
 ペニスの大きさと硬さを覚えさせていく。入念に擦りつけ子宮へと向っていく。
「はぁぁ、こんなっ……こんなのはじめてぇ……えっ……どうしたの?」
 膣内でペニスの動きが止まった。突然のことだった。わなわなと震える身体は次の一瞬を待っている。子宮口を一突きする最後の一撃。このまま挿入を続けてやってくると思ったが寸でのところで停止した。
「期待したようだね、葵くん。いい兆候だ。顔も色狂いに目覚め始めている」
「そうなの……私、そんなにいやらしい顔してるの……」
 期待に頬は染まっている。瞳は潤んで悲壮を訴える。男の征服欲を煽るか弱い牝の瞳だ。
「だからわしの肉壷として選んでよかったよ」
 心の中に溢れたのはなぜか幸福に近い喜び。蔑むべき相手に投げかけられた言葉に自然と膣内が締まった。
「可愛い女だ。孕ませてやる」
 ほんのわずか、膣内で停止していたペニスが入り口へ向って動いた。葵がペニスの動きを感じた刹那、子宮が鳴いた。
「ひっッ!! っぐぅぅううああアアアア!!」
 顎が外れるほど叫ぶ。腰をくねらせ激震する膣内からの荒波に自我が崩落する。これまでの絶頂は前座に瞬時に塗り替えられ、二度目の潮を噴いた。
「らにぃ、らによこれぇ……こんらのされらら、もたないぃぃぃ」
 子宮口への接触だけですでに正気でいられない。接触した瞬間に体内を稲妻が駆け、脳天まで突き刺さる。
「まだだ、ちゃんと数えろ」
「数えるって……なにを数えるの……」
「自分が何度、絶頂に達したかだ。ほれ、今何度目だ。最初に小便漏らして1回、潮を噴いて2回、クリトリスを弄られて3回、さらにクリと膣内をほじって4回、そして最後、今さっきのいやらしい潮で5回だ。ほれ言ってみろ」
 刻み付けられる性に翻弄されてばかりいる。
 ……わたし5回もイってたの……実とのセックスじゃ……イったことなんてなかったのに……。
 感じていなかったわけじゃない。大好きで仕方ない夫だとの性交だ。間違いなく至福の時だった。だが今夜の情事と比べると、なんて程度の低いセックスだったのだろう。好きという感情の上でだけ成り立つセックスでしかない。
 身体は何一つ満足してなどいなかった。
「わ……わたしは、沢木葵は阿久津一郎さまによって5回、イかされました。気持ちよすぎて、もう幸せでいっぱいです……でももっとセックスがしたいです。お願いです、股のゆるい潮噴き女ですがどうか……セックスしてください……」
 考え付く限りの淫語を紡ぐ。
 ……ごめんなさい、実。調教されてたからこれは仕方のないことなのよ。入ってるおちんちんが凄すぎて私、なにもできないの。
 阿久津が腰を動かし始める。接触していた肉が離れていく。絡まっていた膣壁はカリの裏側で削られていく。絶頂に達している感覚が収まる前に再び押し上げられる。
「ヒヒィィッ! う、ごいてぇ、けずられれぇえええ」
 膣壁のうねりを力でねじ伏せる。カリ裏で焼くように壁を熱し、男を刻み付けていく。肉竿が外気に触れ亀頭を残して止まると阿久津は笑った。
 腰を身体ごと突きいれる。最初の挿入とは違っていた。ペニスの先端は一度覚えた子宮口の場所まで一秒もかからず届く。
「はぁぁん! あ゛あ゛!! これがセックスぅなのぉ……いけないわ、こんなの続けたら死んじゃう!」
「なら死ぬほど感じさせてやる。葵くんの子宮が誰のものか教えてやる」
「はぁ、はぁひぃ! 教えてください! わたし、わたしもっと知りたいぃぃ! オマンコが焼けるほどセックスしたいのぉおお!」
 声を荒げて抱えている足をぎゅっと胸に押し付ける。阿久津は腰の動きを早めるために覆い被さると葵の肩に手を回した。顔が近付きだらしなく開いた口に目をやる。
「完全に堕ちた顔だな。いいぞ、もっとだ」
「はひぃ! はひぃぃん! ああっ、そこです、クリトリスの裏側です! そこをえぐられるとビリビリくるのぉおお! またまたイッちゃう!!」
 阿久津のセックスは葵の感じる場所だけを責める。自分の性器を喜ばすのは後回しにしていた。沢木葵が完全に堕とすまではひたすら責める。
「はぁぁ、あ゛ぁあぁ……そっごぉぉおお! ああッ、イキます! 6回目の絶頂です!」
 布団に零れてくるのは小便だった。体内の水分を全部放出する勢いで漏れていく。すでに数度のおもらしで濡れきった布団はもう染み込む事はなかった。
 水溜りができあがる。四方からレンズを向けるカメラが一部始終を記録している。2人の結合部分を捉えているカメラには、小便とともにトロリとした粘液も同時に溢れ出しているのが映っていた。
「また小便か。本当に股のゆるい女だな、葵くんは」
「ごめんなさい……ごめんなさぃぃ……」
 涙を流しながら謝る。だがその涙は嬉しさのあまり漏らしているもの。もう完全に屈服している牝の顔だった。
 突き入れた腰がゆっくりと抜かれていく。ここからは阿久津も自分を昂ぶらせることに集中できる。また亀頭を残して竿を抜くと腰の位置を少しずらす。足の位置も動かしやすいようにと位置を変える。
 身体の位置を完全に固定して顔を近づける。大きな腹が胸を押しつぶすようだった。
「これから葵くんを孕ませる。きみが何を言おうとわしは孕ませる。子宮のなかにわしの精液を流し込んで孕ませる。きみはイッたらちゃんというんだ。何回イッたか、誰にイかされたか」
「は、はひぃ……」
 逆らえない。ぽっかりと空いた膣内が挿入を待っている。阿久津との会話で時間を使いたくない。早く、一秒でも早く膣内を突いて、犯して欲しいとねだる。
「孕んでもいいんだな」
「言わせないでください……」
「だめだ。ちゃんと口にしろ。わしは無理強いせんのだ。わかるな」
 ……言えば突いてくれる。オマンコにおちんちんを入れてくれる。なら迷うことなんてなにもない。赤ちゃんができるかどうかなんてわからないし……ああっ、もう!
「お願いします、孕ませて! 孕ませてください! もう早くオマンコしてぇぇ!」
 夫への操などもうどこにも残っていない。
 なにがなんでも手に入れたいのはすぐそこにある快楽のみ。
 阿久津は微笑み、無様にも醜態を晒す牝の唇を奪った。
「んぁぁあ、ずぴゅりゅゅ……んちゅっぱぁぁ……」
 分厚い唇が葵の小さな唇を蹂躙し、口元をよだれで汚していく。いくら身体を蹂躙されてもそこだけは別だった。唇だけは絶対に死守しなければならない場所だった。
「キス……してしまいました……」
「夫とのキスと比べてどうだった」
 なにも聞く必要はない。葵の顔は気持ちいいといっている。これ以上のキスはないと魅せている。男に媚を売る娼婦のように瞳を輝かせて性を乞う。
「素敵でした……阿久津様の唇、とっても情熱的で……とてもとても――」
 感情が爆発しそうだった。夫への愛は変わらないと想いつつ、眼前の男が与えてくれる快楽に酔いしている。拒んでいた感情も崩されて、膣内から溢れる刺激こそが自分の感情にとって変わる。
「ハァッ、はぁあああああ!!」
 歓声の如く沸き上がる声。歓喜し全身が震える。もう何も残されていない。突き動かされ膣内を陵辱するペニスに押し潰される。
「はぁん! 阿久津さまぁ、いい、いいですぅ! 私オマンコがじんじんしれぇ!」
「ハハッ! わしも葵くんのオマンコが気に入ったぞ。そら! そら!」
 力強く膣壁を押す。壁を破る勢いでごつんごつんと打ち付ける。
「ァアアッ! はぁァア、もう、もうイク……まらぁイクぅううう!」
「おうイけ。何度イってもかまわん。ほれ、これでイクんだろ!」
 もう完全に掌握されている。膣内のどこをえぐれば絶頂に達するのか、赤子の手を捻るよりも簡単なことだ。ペニスの先端は微妙に違う肉質を感じとり敏感な一点をひたすら犯す。
「ひィィッ……ぐぅひぃいぃいいいいい!?」
 子宮口をガンと一突きにすると7度目の絶頂へ達する。
「ほらアヘってないで言わないか」
 肩に回していた手を尻へ向けて振るう。尻肉がぶるんと揺れると葵は口を開く。
「ひゃぃ……阿久津様のおちんちんで沢木葵は7回目の絶頂に達しましらぁ~」
「そうだ。これからも続けろよ」
「ひゃい、ひゃいぃぃぃ……ひヒィン!! おっおひぃぃぃ!!」
 腰は動きを止めない。阿久津の様子が変わってたことに膣内が気づく。ペニスがさらに膨らんでいた。腰のストロークは短く亀頭を擦りつけるような微震動へと変わる。
「アッアッアッ! アアッ、これぇ、これってぇ……」
「孕ませてやるぞ! 絶対だ! 絶対、孕ませてやるぞ!」
 ……言わないで、言わないで、そんなに言われたら私、本当に妊娠させられちゃう。
 子宮口に響くように震動するペニス。
 ……これが男の人? わたし、オマンコがもうぐちゃぐちゃになって……ああっ、注ぎ込まれるのね。射精……まだ実にだって許してないのに。でも、この人のなら。
「どうでもいいわ! いいえ! 阿久津様の子種下さい! 私のオマンコに射精してぇええ!」
 2人の腕が互いの肩を抱く。足を絡ませて溶け合うほどにしがみ付く。
 唇をぶつけあい舌を求め合う。全身が一体になった感覚と共にもっとも深い場所で精が解き放たれた。
 ……ああっ、してる、射精してる。子宮が熱くなってぇ、私またイってる。膣内射精されて幸せって感じてイってる。ごめんね、実、でも気持ちいいの。私、阿久津様のおちんちん大好きみたい。
 脈を打つペニスから放出される精液は収まりがつかない。
 ……嘘、まだなの。どれだけ出せば終わるの。ホント、実と違って凄いんだから。こんな男性に抱かれたらどうなったって仕方ないわよ。
 結合部分から白濁液がどろりと溢れ出す。葵が絶頂に達した証も同時に溢れてくる。
「っぷはぁぁ……ふふっどうだ。わしの子種は」
「すごい量ね……力強くて、凄まじくて、処女だってぶっ飛ぶんじゃない……またイったわ……ぐすっ……」
 自分の愚かさに涙を流す。心底満足した阿久津が「で?」といった。
「沢木葵は8回目の絶頂に達しました。ぜんぶ、阿久津様のおちんちんのおかげです」
「ふぅむ……そのおちんちんというのはやめろ。まるでわしのチンポがガキのようだ」
「で、では……阿久津様のチンポ……おチンポでよろしい、ですか?」
「様をつけろ。これからはわしのチンポを意識していくんだからな」
 腰を一突きする。余韻に浸っている隙を突いての一突きは瞬く間に絶頂へと上らせる。
「ふひィィッ!? はひぃ、阿久津様のおチンポ様っ! おチンポ様で8か、9回目ぇのぉぉ! アクメですぅ! ありがとうございましたぁ~」
 蕩けた顔でいうが阿久津は離れようとしない。精を放ったら抜いて終わるというのが葵のなかの常識だったが違った。また腰が動き始めた。
「なっなにぃをぉっ!? もう終わったんじゃぁ……なひんれすかぁぁ!?」
「バカを言うな。ここからが本番だ。このまま抜かずに2発、3発……いや5発は膣内に射精してやる。嬉しいだろう」
 ……5回!? そんなに出るの? 化物じゃない! い、いえ私ったらなんてこと、阿久津様なら、5回くらいできても……だってこんなに逞しいんですもの。
 ペニスが膣内をかき回すと白濁液がわんさかと溢れてくる。カメラは葵の尻穴にこびりついていく白濁液までも映像に収める。
「嬉しいです! もっと突っ込んでぇええ! なにもかも忘れさせて! 本当のセックスを教えてください!」
「いいだろう、ふん!」
 子宮にぶつかる。白濁液を含んだ器官は揺さぶられる。
「あヒィッ! ひゃぁん……んちゅぅッ! えへへ、今度は私がキスしちゃいましたね……」
 照れくさそうに笑う葵。腰の動きは彼女を9回目の絶頂へ昇らせていた。もう、一突きするたびに絶頂しているようなものだ。回数を数えられることはないだろう。
「キスはもっとこうするんだ」
 葵のしたキスなど唇の触れあいでしかない。阿久津のキスは相手を取り込み、犯しぬく。忍び込ませる舌は歯茎を舐めあげ、相手の舌に絡みつく。上顎も頬の裏側もねっとりと粘膜を擦りあげる。相手が何を食べたのかまで味わい尽くすように。
「んあぁぁ……んちゅぅぅぅ! はぁ、阿久津様のお口、すごいです……私、ほんとうに好き……」
 決して口にしてはならない言葉だった。自然と口から漏れる。流されたにしても口にしてしまうと言霊となっていく。
「そうか好きか。これか、これが好きなのかっ」
「はひぃぃ! 好きっですぅぅうう! お願いですからぁ、もっともっとぉおお!」
 願いは果てしなく続く。一心不乱に阿久津にしがみつく。
「よし2発目だ。また子宮に注いでやるぞ!」
「は、はひ! お願いします。阿久津様の子種を仕込んでください!」
 また一体化する。ペニスが子宮にがっちりと狙いを定めて2発目の精を放つ。先の射精と変わらない大量の精が流れ込んでくる。もう膣内は満杯で先に出した精液は外へと溢れていく。
「まらぁ……まらぁイった。わたしイキました……阿久津様のおチンポ様でイキました~」
 頭が真白になっていく。何度も何度も膣内に射精され葵の身体は白く染め上げられていった。
 海藤によって調教を受けた肉体は阿久津との性交にとって完成を迎える。女としての部分は牝に仕立てあげられた。完全に屈服し夫ではない男の肉壷に堕ちる。
 午前4時頃、カメラが映し出していたのは葵だけだった。阿久津と海藤は映像の外で彼女を笑いながら見ている。
「私、沢木葵は……」
 カメラの真ん中で正座して葵はいっている。性に塗れた身体はそのままである。
「夫である沢木実を裏切って他の男に身体を差し出しました。嫌悪する男でしたが彼のテクニックとおチンポ様に自分の浅はかな考えを改めさせられました」
 頭を下げ土下座する。その先には阿久津一郎がいる。
「何度もイキまくっておもらしした牝ですが、どうかこれからも肉壷として使ってください」
 額をつけた場所は小便と愛液と白濁液の作り出した混濁液の上。
 これ以上ない恥辱のうえで葵は今夜のことを振り返る。どこで引き返すべきだったのか。そして答えはでなかった。最初から海藤との出会いからすべて終わっていた。彼の本性を見抜けなかった自分が憎くてたまらなかった。
 撮影が終わると風呂に入れられた。どれだけ洗っても子宮に流し込まれた精子は決して取り出せない。
 ……本当に妊娠、してしまったの……。
 意識が元に戻ると後悔しか残らなかった。
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Author:之ち
之ち(ユキチ)

小説中心に活動中。
ジャンル問わず面白ければ好き。
大阪在住・12/28生
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