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第8話 気づかぬ夫

 朝を迎えて起きる。五月蝿い目覚ましを止めて頭を上げると朝陽が寝室に差し込んでいた。疲れは一切無く背伸びをするとベッドから出る。やはり昨夜に受けた治療が効いているようだった。
 精神科医、水嶋椿の元で行なわれた催眠治療は沢木実の身体を精神さえも含めて癒していた。効果の程は彼自身がもっとも知っている。一日経ってもまだ続いているようである。
 ベッドから出ると寝ている葵が目に入る。いつもなら自分よりも先に起きて朝食の用意をする葵だが昨夜帰って来たのが遅かったため未だに寝ている。声をかけずに顔を洗って仕事への準備に取り掛かった。
 葵が目を覚ましたのは実が家を出る頃。大丈夫なのかと問い掛けると問題は無いと返ってきた。彼女の仕事は規定がなく昼前になって家を出る事も多い。そういうことなのだろう。実は「行ってくるよ」といって駅を目指した。
 一人だったが晴れやかな気分である。毎朝乗る同じ時刻の電車に乗り込んで会社を目指す。景色もいつもと違って見えた。
 会社に着いた後、巡回ルートを確認しいつも通りに仕事を開始する。病院を周り、見知った医者や薬剤師に頭を下げる。何も変わらない日常だった。
 そしていつものように病院のトイレに篭もり携帯電話を取り出す。空いた時間に調教ブログを確認する。心のなかから疲れが取れてもこれだけは変わらない。

 ―――調教師Sの記録―――
 携帯電話の画面にブログのタイトルが表示される。画面を下へとスクロールさせていく。日付の確認によって
『人妻A 調教五度目
 全身の感度が上々に仕上がった。
 全身の肌を女として改善させ、クリトリスの感度も調教前から一変させた。
 彼女は性を意識するだけですぐに身体が疼くだろう。
 あとはセックスによる快楽を植え付けて男に媚びる事を教えるだけだ』
 新しい画像が張られている。クリックすると人妻Aがベッドで倒れている姿が画面にでる。彼女の両足が開いてカメラは陰部から首までを映していた。衣服は無く下着の類も見当たらない。陰部には僅かながらモザイクが掛けられていた。
 実は写真を食い入るように見る。画面中央のモザイク加工の下にある黒い茂みを想像し喉を鳴らす。女らしく丸く柔らかい肉つきが掌大のモニター越しにでもわかる。
 この人妻Aという女の抱き心地は如何なるものか、考えただけでもたまらない。まるでセックスのあとの、放心状態で寝ている彼女はきっと全身をねっとりとこねくり回されたのだ。
 顔の見えない人妻Aの胸の膨らみを拝むようにみて葵を思い出す。こんもりと膨れあがった肉球と乳首はちょうど葵と同じぐらいの果実である。すると感触はこれぐらいだ、弾力はこれぐらいだと手の内に甦ってくる。自分の妻と画面上の人妻を重ねる。
 股間の滾りが限界に達して手を伸ばした。葵が他の男とセックスしていると考えられないがどうしてもだぶってしまう。しかもそんな考えてはならないことなのに股間は勃起してしまう。そしてどうしても耐えられなくなって僕は人妻Aを葵に見立ててオナニーした。
 性欲の処理を行なうに時間は掛からない。個室の中で精を放つ。
 また冷静になると記事の続きを読む。
『いつもブログを読んでいる読者の方へ
 彼女の調教は知人の方に譲る事になった。
 自分としては少々、不本意だが断る気も無いし、なにより彼が彼女を徹底的に調教したいと願い出たため承諾しました。
 今後の調教は彼に任せる事になりますが激しさは増すでしょう。
 なにより読者の方にも参加していただく事もあると思います。
 そのときはまた、このブログでご報告します』
 調教師の言葉は精を放ったあとのやや呆けた頭に良く響いた。
 読者に参加していただく……その言葉の意味はおそらくそのままだ。このブログの過去を読んだとき同じ読者参加という記事があった。当時の記事にはブログの読者のなかから一人、直接参加し女を抱けるというもの。
 また画像を表示させる。さっきと何一つ変わらぬ姿で横たわる人妻A。この女を誰かが抱く事ができるというのか……もう次の病院へ向かわなければならないというのにまた股間が膨れていった。
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tag : NTR催眠療法プログラム

2012-12-17 : 小説 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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之ち(ユキチ)

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