FC2ブログ

第5話 ルサリィ ドレスアップ

 ルサリィがDNA認証を完了して1日経った。
 はじめてのセックスで下半身が蕩けるほどの快楽を味わったカズマは四六時中、彼女のことばかり考えていた。
 ここドーム型住居にはカズマとルサリィの2人だけが存在している。外へ行く事も許されない居住区内ではリビングでテレビを見ていても視界の端に必ずルサリィがいた。彼女はカズマが移動するたびに付いてくる。それは構わないのだが問題が1つあった。
「だめだ……また……」
 唯一、1人きりになれる自室に飛び込むと息を整える。
 生活のサポート役が付き纏うのは別に気にもしない。これまでもメイドが付きっきりでいたのだから煩わしさはない。
 だが今回は違う。ルサリィはこれまでのメイドとは全く違う存在なのだ。ボディラインを魅惑の純白レオタードで包み、女性らしさをこれでもかと押し付けてくる。存在自体が性を意識させてくる。
 はじめての相手だからかもしれないが、さすがに彼女がいつでもどこでも付いてくると理性が持ちそうになかった。彼女の存在はカズマにとってそれほど誘惑の強いものであった。
「マスター、お昼のご用意が出来ました。リビングへ来てください」
 昼頃になるとルサリィが呼びにきた。無視できるわけもない。部屋から出て一階のリビングへ下りる。するとテーブルにはルサリィの用意した料理が並んでいた。
「本日の昼食はチキンカレーにしてみました」
 ルサリィはやはり純白のレオタード姿のままだった。ソファーの傍に立っていて、カズマが座る場所のすぐ隣りでもある。カズマはできるだけ彼女かに目を向けないようにして座ると黙々と口に運ぶ。
 彼女の作る料理はどれも五つ星レストランのシェフと同じかそれ以上の味である。完璧な調理方法をプログラムされているおかげだ。
「お味はいかがですか、マスター」
「美味しいよ。うん、すごく美味しい」本当に美味しいのだ。
 ちょっぴり辛いカレールーのなかに大きな野菜がごろごろと入っている。口の中にいれると素材の味とカレールーが程よく合わさり崩れていく。とにかく食欲が進む。
「マスター、お食事が終わりましたら、また奉仕をします。よろしいですね」
 半分ほど食べるとルサリィはいった。
「えと……」
「本来なら昨日の夜に5回はセックスをしなければならなかったのですが、マスターが断ったためできませんでした。私としてはマスターにはやく一人前になっていただく必要がありますので一日に最低でも5回はするように勧めたいのですが」
「1日に5回もしたら身が持たないよ」
「そんなことはありません。私のボディに内蔵されている男性用の媚薬液を覚えておりますか。あれは性欲を増強するためのものです。当然、回数も増えますので5回でも少ないくらいです」
 実はDNA認証のあと、ルサリィとのセックス以外で6回抜いた。何度射精しても収まりがつかなかった。
「マスターは私に興味がないのですか?」
「えっ!?」
「昨日の認証後、一度も私を抱こうとしません。やはり私に問題があるのか、マスターが私に興味を持っていないのかのどちらかだと思うのですが」
 興味ならある。ありすぎるぐらいにあるとカズマはいいたかった。動かしていたスプーンを置いてルサリィを見る。
 起動時から着ている純白のレオタードの下、陰影を作り出す双乳とくびれ。そして股間の部分。昨日は彼女とはじめてを体験した。女というものをはじめて体験したのだ。
 だが心の中にわだかまりがないとはいえない。
 ルサリィは人間の姿をしているがアンドロイドだ。彼女が自分に接するのはすべて命令であり、そうプログラムされているからである。つまり感情というものを持ち合わせていないのだ。カズマはプログラムで動く彼女をどうしても人間のように思えなかった。かといってアンドロイドだといって無闇に扱えるわけでもない。
「私はマスターの思いのままになるのですよ」
 ソファーに腰を降ろすと寄り添った。腋から胸を挟んでやや前屈みになる。カズマの目には深い谷間が写った。
「マスターがご命令をくださればどこでも、なんでも、自由になります。なのになにもしない。私になにか問題があるのですか。あるのなら問題を解消します」
 彼女は寄り添うだけではとまらない。ぐいぐいと乳房をカズマにすり寄せて押し付けてくる。カズマは後退りやがてソファーに押し倒された。
「えと、ルサリィに問題はないよ」
「ならなぜ私に命令してくれないのですか」
 どうやって説明していいか悩んだ末、カズマはルサリィを押しのける形で体勢を元に戻した。立ち上がり、まだ半分残っているカレーをそのままに螺旋階段へと向かう。
「もうちょっと時間をくれ。落ち着きたいんだ」
「しかし」と口にしたルサリィ。「これは命令だ」と被せ気味にいった。。
 彼女を黙らせる方法はそれぐらいしかない。命令だといえば、それ以上の追求はできない。
「……了解しました」
 自室に戻り、一服すると学習机に電源が入る。毎日行なっている勉強の時間となった。カズマは考えるのをやめて勉強に集中した。そうすることで一時的に解放された気がした。
 通常、勉強は休憩をはさみつつ夕食まで続く。今日も同じように続けた。ただし、休憩中も自室から出ることはなかった。かわりにインターネットでアンドロイドとの関係を調べた。他者がどのようにしているのか知りたかった。
 だが答えは見つけられなかった。ある者は道具として扱い、ある者はパートナーとして扱っている。考える事は皆、ばらばらだった。
 やがて夕食の時間がくるとカズマのポケットに入っているコンソールが通話モードになった。
「夕食の準備ができました。マスター、いかがなさいますか?」
「……食べるよ」
 気は乗らなかったが神経を使いすぎて腹が減っていた。部屋から出て一階に下りるといい香りが部屋全体に漂っていた。そして、昼間と同じようにソファーの傍にはルサリィがいた。
「その格好……」
「さきほどスオウ博士から届いたドレスです」
 彼女はレオタード姿ではなかった。俗にアンドロイド用ドレスと呼ばれる衣装だった。
 レオタードのV字ラインよりもさらにキツくなった鋭いラインのボディースーツとなっている。生地は薄くボディに張り付いた感じのあるものだ。さらに腰には短く生地の薄いひらひらとしたスカートがV字ラインの隣から装着されている。太ももの上部と尻だけを隠していた。
 まるで男の視線をわざと惹きつけるようなデザインだった。
 さらに彼女のもついやらしさを強調するように胸元が開いている。レオタードでは完全に覆われていた胸の部分はぽっかりと穴が開いている。乳房を下から押し上げるようにしてボディスーツは途切れ、両脇から首にかけて通っている。肝心の谷間には縛るように網目状の紐が数本装着されていた。おかげで乳房の大きさは数値以上の大きさになって見える。
 そんなエロチックなスーツだけでなく、腕には肘まで伸びたカバーが装着され、足にも同様のカバーが装着されていた。さらに足はハイヒールに換装されているらしく背が伸びている。
 なにより彼女の額から両耳にかけてティアラのようなヘッドギアが装着されている。額には円形状の機材が付いており、機械に近付いていた。
「に、似合ってるよ」
「本当に、ですか?」
 視線をそらしていた。自身のボディをチェックするように見回す。腋を上げ腰を捻るとボディスーツは背筋を丸出しにしている事に気づいた。レオタードのときも相当色気を振りまいていたがそれ以上だった。
「本当だよ。正直いうとレオタードの時も綺麗だったし、凄く似合ってた。でもそのドレスはなんていうか……俺にはヤバイ」
 とくにスカートの存在が危険である。なぜなら少しでも動けば股間の部分が見えてしまうのだ。下着ではない、ハイレグのボディスーツだと解っていてもどうしてもそう見えてしまう。
「ヤバい……申しわけございません。マスターの言葉は適切ですか? 言葉の使い方があっていないと判断します」
 ルサリィは言語においてもプログラム上でしか判断できない。
「古い使い方なんだ。ちょっと感覚的に使うから間違ってないんだよ。そうだな、ちゃんといえば……ルサリィは魅力的で見てると興奮するってことさ」
「ありがとうございます」頭を下げた。
 カズマがソファーに座るとルサリィは寄り添った。今度は身体を押し付けるようなことはなかった。だが並べられた料理を口に運ぶのは彼女だった。
 テーブルにはボルシチとパンが三つ用意されていた。これでワインとキャンドルでもあれば完璧だったがルサリィは別の考えがあるようだった。
「いかがですか?」
「美味しいよ。ルサリィの手料理」
「当然の結果なのですがマスターに褒められると嬉しいと判断できます」
「嬉しい?」
「はい。私はマスターのために存在するのです。残念ながらマスターは私の身体を求めてくださりませんが、お食事だけでもしていただけて、そして美味しいといってくださるだけでも私は嬉しいと判断できます」
 ヘッドギアのせいか彼女の表情に陰りがあるように見えた。
「ルサリィは……俺のこと好きなの?」
「好き嫌いでは判断できません。私にとってカズマさまはマスター。所有者であり主です。絶対の存在です」
「俺は……」とカズマが口にした瞬間、ルサリィはスプーンを置いて抱きしめた。
 柔らかな乳房に顔をうずめる。
「マスターは私をどう見てくださっているのですか」
 問われたが答えがちぐはぐで言葉にならない。乳房が頬を締め付けるように圧してくる。ボディスーツはラバー素材に近いらしくペリっと硬い皺を作っている。彼女の腕に抱かれていると胸の中で渦巻いていた疑問が浮き彫りになってきた。
「アンドロイドですか、セクサロイドですか、それとも……1人の女としてですか」
 耳に彼女の鼓動が聴こえてきた。胸の奥で、どくん、どくん、と音を立てている。
「この音は?」
「音ですか? おそらく体内に潤滑液を送る装置の音です」
 アンドロイドの体内は人間と同じように骨と血管類と筋肉類で出来ている。物質は違っているが構造は同じだ。カズマは授業を思い出し、頭の中で描いた。精巧に作られた顔や肌、その内側には人工の骨格とチューブが通っている。人間でいう心臓もあり、全身に潤滑液を贈るポンプの役目を果たしている。
「気になりますか?」
 ルサリィを見た時、美しいと感じた。彼女はプログラムで動く人形だが今この時を生きている存在に違いない。なら人間かどうかを区別する必要はあるのだろうか。なにより彼女はこうまでして尽くそうとしている。
「俺はなにか間違えてたのかな……ルサリィをどう見ていいかわからなかった」
「マスター?」
「ルサリィは俺の生活をサポートするようにプログラムされてるって」
「仰るとおりです」
「俺の事は嫌なんじゃないかってどこかで思ってた」
「ありえません。そのような発言はしておりません」
「そうなんだ。ルサリィは俺のために色々としてくれてる。キミの感情でね」
「思考=感情とするのならそう判断することも許容範囲内です」
 ルサリィの乳房から顔を離す。もう我慢できない。今度は起動時のような仕方がないものではない。勇気をもってルサリィを見つめる。
「マスターの性的興奮値が増大中です。いかがされましたか?」
「そんなこと言わなくたってわかるだろ。誘ってきたのはルサリィだ。飯は後にしよう。俺、ルサリィとセックスがしたいんだ」
 ぎゅっと抱きしめた。ルサリィの鼓動が自分の鼓動と合わさって響きあう。
 どちらの鼓動も強く早く響いていた。
関連記事
2013-01-24 : 小説 : コメント : 0 : トラックバック : 0
Pagetop
コメントの投稿
非公開コメント

Pagetop
« next  ホーム  prev »

プロフィール

之ち

Author:之ち
之ち(ユキチ)

小説中心に活動中。
ジャンル問わず面白ければ好き。
大阪在住・12/28生
相互リンク募集中です

カウンター

おすすめ





プレイ中