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Chapter121-04 氷の華と魔女吸血鬼 第4幕

『原作』アイカツ! アイドルカツドウ

『仕事に出ていた精霊たちが戻ってくるとお留守番をしていたスミレ姫はベッドで倒れていました。精霊たちはあわてて介抱しますが時はすでに遅く、スミレ姫は深い眠りについていたのです』

「どうしよう、お姫様死んじゃったの!?」
「あわてちゃダメよ、こんなときは、こんなときは、ええっと!!」
 本当に穏やかでなくなるといちごとあおいはパニックに陥っていた。
 ベッドを囲む精霊たちはどうにかしようと策を巡らすもスミレ姫を助ける手段など何一つ思い浮かばなかった。
「どうしたらいいの!?」
「スミレ姫っ! 目を覚ましてっ!」
 スミレは静かに呼吸してはいるものの目を覚ます気配はありません。精霊たちはその日の夜になるまでずっと起こし続けたのです。
「これだけやっても起きないなんておかしいよ」
「もしかして魔女の呪いかしら」
「美月知ってるの?」
「ええ、邪悪な魔女にして吸血鬼は相手を永遠の眠りにつかせる呪いを使えるというわ」
「その魔女がスミレ姫を狙ってきたということでございますか?」
「可能性はあるね! だってスミレ姫は誰かに襲われてここまで来たんでしょ」
 ベッドで眠ったままのスミレ姫に精霊たちは心配そうにみつめる。
 魔女の呪いだとするならこのまま自然にスミレが目を覚ますことはないだろう。呪いを解く必要がある。
 しかし精霊たちには呪いを解く方法など知るはずもない。

『精霊たちが困っているとき、森の奥深くにも関らず、一陣の風が吹いたのです。それは紫の精霊と呼ばれる紫吹蘭が帰ってきた合図でもありました』

 ガラッと小屋の扉が開かれると華やかなマントと唾広の帽子をかぶった紫吹蘭が入ってきた。
 スミレ姫を悲しくみつめていた精霊たちに気付くと軽い足取りで近づく。
「どうしたんだ?」
「蘭!?」
「いったいどこへ行ってたの!?」
「そうです。連絡もなしに一年も!」
「心配したんだからね」
 次々と抱きつく精霊たち。蘭も自分が悪いとわかっているのか振りほどきはしなかった。
「それこの娘はどうしたんだ?」
「それがね……」

『帰ってきたばかりの蘭でしたが仲間の精霊たちからスミレ姫のことを聞くとなにやら1人言を言い始めたのです』

「どうしたの?」
「ん? うん、このお姫様に呪いをかけた魔女に心当たりがあるんだ。それと呪いを解く方法にもな」
「本当に!?」
「ああ、だから任せてくれ!」
 蘭はコホンと咳払いすると顔を赤くした。
「そ、それで呪いを解く方法なんだが……」
「どうしたの?」
「キ……キスをだな……する必要があってな……」
 スミレ姫を出会ったばかりでベッドに押し倒した精霊たちと違って蘭はキスという言葉さえ恥ずかしがっていた。
 にやにやと微笑みだす精霊たちに顔を赤くするばかりだった。
「キスすればいいのね」
 神崎美月がそっと唇を触れさせる。だがスミレ姫に変化はない。
 ならばと夏樹みくるが交代するがやはり目を覚ますことは無かった。
 精霊たちは続々と入れ替わりキスをするがやはりスミレ姫に変化はないままだった。
「本当にキスで目を覚ますの?」
 全員がキスを終えてもスミレ姫は起きなかった。
「待ってくれ、私が知ってる情報だと確か……その、王子様……のキス……」
「きこえなぁ~い」
「王子様のキスだよ! お姫様の一番好きな王子様からのキスがいるんだ」
「それなら先に言ってほしかったなぁ~」
「王子様のキスとはまたロマンチックですわね」
「YES! お姫様、わたしの口付けをどうぞ……」
「キャーーーーーッ!!」
 はしゃぐ精霊たちにあきれる蘭はどうしたものかとスミレ姫の顔を覗き込んだ。
 見ているものを惹きこむ魔性とでも言い表せそうなほど美しい美姫が眠っている。
「このお姫様を目覚めさせられる王子様って誰なんだろうな」
「心配だね」
「ねぇ、蘭。スミレ姫の件もあるけど、もうひとつ邪悪な魔女はどうするの?」
「そっちは今から私が言ってもう悪さをしないように頼んでみる」
「知り合いなの」
「ああ、旅の途中出会ったんだ」

『紫の精霊、紫吹蘭は仲間たちにそう告げると夜明けと共に魔女のいる城へと向かったのです。そして彼女と入れ違いになるように1人の王子様が森の奥へとやってきました』

「このあたりに精霊さんたちの住む小屋があるはず……」
 暗い森を抜けてやってきたのは王子様こと大空あかり。
 彼女は数日前に見たスミレ姫の姿を追い求めてここまでやってきたのです。
「嗚呼ッ!! スミレ姫! わたしは貴女を追いかけてこのような場所にまでやってきてしまいました!」
 その声を聞いた精霊が窓からあかりを見たのです。
 スミレ姫の目を覚まさせるには本当に好きな王子様のキスが必要なのです。
 ならば彼女はどうかと相談し始めました。
「ねぇ、そこの貴女。ひょっとして王子様なのかしら?」
 美月が先頭に立っていいました。あかりはすぐに精霊たちに向き直り「いかにも」と堂々と答える。
 精霊たちはじろじろとあかりを見る。
「はい! わたしは隣国の王子! 大空あかりですっ! あの精霊さん」
「なにかな?」
「ここに紫色の髪をした美しいお姫様はいらっしゃいませんか? わたしはその方を捜しに来たのです」
 紫髪のお姫様は1人しかいない。
「お願いです。彼女の居場所を知っているなら教えてください!」
「なぜ貴女に教えないといけないの?」
「それは……わたしが彼女に一目惚れしてしまったからですっ!」
 再び精霊たちが話し始めます。
 そして小屋の扉を開き、あかりを招いたのです。
「スミレ姫はいま、悪い魔女の呪いで眠りについてるの。呪いを解く方法は王子様のキスだけ……あなたのキスで呪いは解けるかしら」
「スミレ姫……わかりました!」
 ベッドで眠ったままのスミレに唇を捧げる。
 するとまつげがピクピクと動き始める。
「……王子様?」
「うん!」
「ありがとう、王子様」
「スミレ姫!」
 ふたりは抱き合いました。
 精霊たちも2人を祝福したのです。




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2015-03-04 : 小説 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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之ち(ユキチ)

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